私と貴男と貴方と時々雨のち晴れ
相沢 美咲
1.初雪と初恋、淡雪と貴男と貴方と如月上旬
初めは何気ない会話だった。この日は呼吸をするたびに肺が痛む程寒く、雲一つない夜だった。当時、タバコを嗜んでいた私は、外にしかない喫煙所でベンチに腰掛け、かじかむ手で電子タバコの電源を長押しした。その時、視界の隅に何かが落ちたのが見えた。私より先にいた先客がタバコを落とした。
「タバコ落としましたよ!!」
たったこれだけ。これだけの会話だった。会社の喫煙所で彼(仮名
話しがだいぶ脱線してしまった。少し強烈な風貌をしている霧島さんは、私が手渡したタバコを無造作に受け取り、喫煙所を出ていってしまった。
(なにあの人)
霧島さんと仕事以外で話した、いいや、一方的に話しかけたのはこれが最初だった。現場でも仕事の指示をするだけでしか話したことがない。霧島さんの行動に、不快感を覚えた私は、電子タバコを口元へ持っていく。最近ついていない、まだ20だというのに白髪が目立ち始めている。寒さに凍えながら、どうしてそこまでしてタバコ吸ってるんだ私、と自分で自分を突っ込んでいると、通用口のドアが開いた。
「サボってんなぁ?」
ケラケラと笑いながら、私の隣に腰掛けた彼(仮名
「自分だってサボってるくせに」
再び将生さんはケラケラと笑った。彼の笑顔は自然と私の口角を持ち上がらせた。同期は私以外退職してしまった。だから、私にとって彼は大変な時期に苦楽を共にしたパートナーでもあり、数少ない理解者でもある。同時に自分と将生さんしかいないこの環境に少し緊張した。
今まで同性が多い環境で暮らしてきた私にとって、高卒と共に入社した会社に勤務している異性の多さに驚いた。仕事が忙しかったせいもあり、恋愛なんてしている暇なんてなかった。ぶっちゃけ、生涯独身でも良いと考えていたほどだ。
だが、今はこうしてタバコを吸いながら、雑談がゆっくり出来るほど、人員にも、仕事量にも余裕が出来た。そうなると、私の瞳に映る雨谷 将生が眩しくて、目を合わせると、心臓が慌ただしく暴れた。少女マンガの世界に存在する言葉の表現かと思っていたが、意外とありえることらしい。
「おーい、聞いてんの?」
「あ、ごめん。なんだっけ?」
将生さんは笑いながら、私の頭をひっぱたく。不服そうな顔をすると、意地悪そうにニヤニヤと笑う。その顔に胸がキュッ(?)となるが、平静を装いながら聞き返した。
「シフト固定の話し。何でお前だけ夜勤固定になるんだ?もしかして母ちゃん関係してる?」
「あー…まぁね」
私の母親は少し変わっている。父親はいるが、母親の異常な束縛に嫌気が差し、仕事を辞めギャンブル三昧。私の給料は親の払えなかった、電気代や家賃代、兄弟の学費で消えていく。母親からは私が何を食べたか、誰とどんな会話をしたのかなど、父親の代わりに今度は私に執拗に纏わりついた。貯めたお金で、私が家を出ていかないように、通帳やカードは取り上げられている。
悪い虫が付かないようにと、派遣社員として、同じ会社で働き始め、私を監視している。免許は持っているものの、車を持っていない為、同じ車で、同じ時間に出勤しなければならなくなった。
そのうえ上司に対して傲慢な態度を取り、他部署の私にクレームが入って来ている。母親が傲慢な態度を取る理由は簡単だ。娘が、社員で働き、自分はその娘の母親だからだと言った。心底母親にはウンザリしている。
「お前大丈夫か」
「…大丈夫」
本音はもう大丈夫なんかじゃない。親に対する嫌悪感が積もっていく。兄弟も、お小遣いは親から貰うものではなく、長女から貰うものだと母親の嘘八百を信じている。兄弟は高校生になっても、家が異常だと気付いていない。
家族から逃げ出したい一心で、仕事に没頭した結果、私は最年少で班長へとのし上がった。課長や同じ部署、他部署の班長、主任と確かに仲が良いが、決してズルをして手に入れた地位ではない。資格を独学で学び、休日は地方へ行っては講義を受けた。これは私の実力だ。努力が実らない時もあったが、私は努力することを止めなかった。だからこそ今の私を手に入れられた。
私の母親はどんな言葉を投げかけてきただろうか?母親は私を『惨め』だと言った。男に媚び、手に入れたいものは全て手に入れ、家族は放ったらかしなのか、と。
給料は絞るだけ絞り取っているにも関わらず、まだ金をせびる。その上、同じ会社で働き始めたことにより、私には自由というものが徐々になくなっていった。
「今度の休み出かけるか!!」
「…え?」
「聞こえなかった?出かけんの。気分転換に!!俺迎えに行くよ。お前課長に何言われても用事あるから休日出勤出来ないって言えよぉ」
皆様、聞こえたでしょうか。これ、ノンフィクションですよ。フィクションじゃありませんからね。説明し忘れていたが、私の会社は基本は土日は休みになる。
(何これ、今日死ぬの?)
「服でも買いに行こう。そうだ、前にカフェに行きたいって言ってたっけ。そこ行ってからショッピングモール行こう」
「で、でも…」
「母ちゃんが問題だなぁ。そしたら、締め日あたりとかどう?タイムカードが丁度切り替えになるし、母ちゃんの部署は絶対土日は休み。月曜の朝には古いタイムカードは回収されてるし問題ないでしょ。適当に会社主体の会議があるとか言えば良いんじゃない?
「あの人の事だから、車の事とか突っ込んできそう」
「んん…そうしたら会社主体の講義に作戦に変更だ。会社外で行われる講義だから、1台の車で聞きに行くって言えばそんなに怪しまれなくない?美咲のクラスなら講義とか日常茶飯事だし、後任を育てるためとか適当に言えば大丈夫でしょ。それにお前の細さなら作業着の下に服着てもバレないだろ」
確かに彼の言う通りだ。今月は運良く金曜日が締め日。となれば、私達夜勤組が出勤する前に、古いタイムカードは、事務員が回収し、新しいタイムカードが用意されている。自分でいうのも気が引けるが、会社内ではかなり痩せている方だと思う。服を着込んだ所でも、私ならバレない。
「うん、行けそう」
「それなら決まり。またLINEするよ。どれ、そろそろ戻るか」
灰皿に吸い殻を投げ入れ、私達は会社の中に入った。
「…?」
ふと、自分の靴箱に目をやると、缶コーヒーが置いてあった。購入した覚えはなく、不思議に思った私は缶を手に取った。
(温かい。誰か間違えて置いたのかな?それとも落ちてたから、とりあえず近くにあった靴箱の中に入れたのかも)
「お前仕事中はカフェインの入った飲み物は飲まないし…誰か間違えたのかぁ?まだ温かいし」
「そう…だね」
ふと脳裏に何故か霧島さんが映った。自販機は喫煙所と食堂にある。私が手に持っている缶コーヒーは食堂でしか販売していない。しかも私が大好きなメーカーだ。どんなに面倒くさくても、缶コーヒーを飲みたい時は、食堂まで買いに行っている。
(ここは通用口。誰が通るか分からないし…仮に、仮に霧島さんが置いていったとしよう。あまり喋ったことのない霧島さんが何のために?しかもわざわざ食堂まで買いに行ったの?)
「落としたやつが悪いよ。いらないなら俺が貰ってもいい?眠くてたまらないんだ」
時刻は午前3時。確かに睡魔と空腹に襲われる時間になる。手に持った缶コーヒーを将生さんに渡そうとした瞬間、男子ロッカールームからガタガタと音がした。こんな時間に誰がいるんだと疑問に思っていると、音を立てた張本人が出てきた。
(え、何で霧島さんいるの)
霧島さんは何十分も前に現場に戻ったはずにも関わらず、男子ロッカールームにいた。根は悪い人ではないことは分かっているが、独特な風貌と、無口すぎる故に何を考えいるのか分からず、敬遠している。霧島さんは将生さんに渡そうとしている缶コーヒーをジッと見てから、何も言わずに現場に戻ってしまった。
「流石キングオブクズのブーは相変わらずサボりまくってるなぁ」
「ブー?」
「あぁ。アイツすぐにサボるし、残業しろっていうとブーブー文句言うだろ?だからブーって皆呼んでいるの知らなかった?」
確かに霧島さんのよろしい噂は聞いたことがない。出社して5分もしないうちにタバコを吸いに行ってしまったり、指示したこと派遣社員やパートに押し付けたり、気に食わないことがあれば帰ってしまうなどなど、かなり自由奔放すぎる勤務態度だと聞いていた。私が夜勤勤務になって1ヶ月。今の所、噂ほどの振る舞いは目にしていない。事実でなければあまりにも酷い言いようだ。
「うーん、知らなかったな。でも、そのあだ名は止したほうが良いんじゃない?本人に聞かれたりでもしたら大変だし、キングオブクズって…」
「おいおいおい、アレに肩持つのは止めるんだ。俺らより何年もこの会社にいるのに、いまだにパート止まりな理由を考えたことはないのか?霧島はそれだけ仕事は出来ないし、課長に信用されていない。不良品だってめちゃくちゃ出してる。お前だってこのまえ霧島の出した不良品流失の件で、何時間もかけて仙台まで謝りに行かされたの、もう忘れた?」
「覚えてはいるけど…」
「ガチで忠告するけど、霧島とはあまり関わるな。男と女で人を見る角度は違うって知ってるけど、これは男の俺から見て霧島はヤバイ。お前は人を信用しすぎ。良いことだけど、悪いことでもあるぞ。自分の目でまだ見ていないから断言したり、同調することが出来ないんだよね?そしたらすぐにでも分かるよ。ここでどれだけアレが使えないクズかって」
将生さんがここまで人を悪く言うのは珍しい。私は頷きながら、少しぬるくなってしまった缶コーヒーを手渡した。
「ここにいたんスカ、雨谷さんと美咲さん。エラーやばいんで助けてくださいよ」
私達の間に割るように入ってきた後輩(仮名
「うるせぇ、早くお前もトラブル対応ぐらい1人で出来るようになれよ」
「え、雨谷さんだって1人で出来なくて美咲さんに手伝ってもらってるくせに?」
「名字が田中のくせに偉そうに」
「今の一言全国の田中さんを敵に回しましたからね。てか名字関係なくない??ちょっと美咲さん??何でなにも言ってくれないの??貴女の可愛い後輩、悟君がイジメられてますよ。え、聞こえてます美咲さん??ちょっ美咲ちゃーん!!」
「いけない、うかうかしてると定時になってしまうわ」
「そう。知ってるよ?美咲さん帰ったあと、俺と雨谷さんと派遣しかいなくなるんですから。残される俺のことを思ってね??」
こんな感じで、私達の会社はなんとか回っている。一部の派遣社員は私達が強く言葉を吐いたりでもすれば、最低でも1週間は来なくなってしまう。それを逆手に取られ、現場ではやりたい放題。まともに現場で動け、トラブル対応出来る人物は、悟と将生さんのみ。霧島さんと派遣社員は出来ない、というか信用問題の関係で任せられない。
3人で手分けして対応をしていると、後ろから誰かに呼ばれた。
(いま忙しいって分かんないのかな。流暢に私の名前を呼んだな…また霧島さんか)
「悟か雨谷さんに頼んでくれると助かります」
製造機械が思っている以上に深刻な状態になっているせいで、辺りには油や水が飛び散る。チューブが劣化している上、機械に1度溶けた原料が、ゲートと呼ばれる箇所に詰まってしまっている。新しいチューブに取り替える前に、詰まった原料をどうにかしなければならない。片手でチューブから漏れる水を押さえながら、バーナーを使って原料を温めては、そのへんにあったネジで穿り出す。そんな状況にも関わらず、後ろからは再度、私を呼ぶ声がする。流石のしつこさに苛立った私は振り返った。
「何か持ってこようか」
(何この人)
「水とか凄いし…」
(黙って自分の担当していた所に戻れ!!)
と、言いたかったが、我慢した。こんな小さなことで苛立ってはいけない、霧島さんは善意で私の元へ来ている。今怒ってしまえばただの八つ当たりだ。と自分に何度も言い聞かせ落ち着かせる。その後も霧島さんは何回も話しかけてきた。しかも趣味はなんなのか、休日は何をしているかなどの、プライベートに関すること。あまりにも空気が読めない霧島さんに我慢できなくなった私は、一言物申そうと振り返った。
「うっわ、美咲さん壊した!!」
「流石、破壊魔」
「黙れ」
ピリついた空気を壊すように何も知らない2人がやって来た。強力な助っ人が登場したことによって、自然と心が落ち着いた。霧島さんは何も言わずに、私の元からいなくなり、自分の持ち場へと戻る。あまり私と話している姿を、誰かに見られたくないのだろうか?
「うわわ美咲さん、水出てますよ!!」
「おっと失礼」
霧島さんの奇怪な行動に疑問を覚えつつ、悟と将生さんと一緒に機械を直した。一通り作業を終え、将生さんは工具を片付けに行き、隣にいる悟と機械の最終確認を行う。
「珍しいっすよね霧島さん」
「え?」
「霧島さんが女性と話してる所見たことないっすもん。珍しいこともあるんすねー」
「…」
正直言って、私には霧島さんなど、どうでも良かった。私の目に写っている人物はただ1人。
「私は貴男に振り向いてほしいだけなのに」
ポーッとその人物を見つめた。悟には分かられている。彼の瞳には誰が見えているんだろうか。今は誰が好きな人でもいるのだろうか。私には魅力がない。もしかしたら彼女がいるかもしれない、聞いたことはないけど。でもそうなったら、私は身を引くしかない。
「美咲さんなら大丈夫っすよ。美咲さんに足りないものは、自信じゃないんですか?今日も私可愛い!!ぐらい、自信過剰でもいいと思うけどなー。自分のことブサイクだなーとか思ってるとマジでブサイクになってくの知ってる?だから、女性はぶりっ子ぐらいが良いんですよ」
「へー。結構勉強になった。ありがとう教えてくれて」
「てめぇ話してないでさっさと仕事しろ、このバカ」
工具を片付け終えた将生さんは、ペチペチと悟の頬を叩く。
「いつも思ってたけど、雨谷さんって俺にかなり当たり強いよね。俺じゃなかったらパワハラで訴えられるからね、マジ」
「いつから俺にタメぐち聞くまで偉くなったんだ?」
「え、美咲さんは大丈夫なのに??」
「コイツはそういうキャラだし、同じ中学を卒業した者同士だから良いんだよ」
「それいうなら、俺なんか美咲さんとは2年も幼稚園一緒でしたからね。まぁ忘れられてましたけど…」
偶然にも私と将生さん、悟は近からず遠からず、繋がっていた。悟の言う通り、私と同じ幼稚園に通っていたらしい。とは言っても、幼稚園生の頃の記憶はほぼ無く、入社したての悟がいきなり「お久しぶりです、美咲さん!!」と言われたときは、頭にクエスチョンマークがいくつも浮かんだことを覚えている。将生さんとは卒業校は同じものの、悟のように一緒に学校生活をしたわけではない。ただ、5つ上にやんちゃな『雨谷』がいた、と名前だけは認知していた。変わった名前の為、色濃く私の記憶には残り、私が入社した数ヶ月後に将生さんは派遣でやって来たという流れ。
他にも、3人とも共通の知り合いがいたり、3人とも同じ機種のスマホを使っていたりなど、奇妙な縁で結ばれている。
「そういえばお前のメンヘラ彼女どうなった?」
「マジこの前殺されるかと思った」
「悟の天然人垂らしに、彼女は多分苛立つんじゃないんかな」
「年齢イコール彼氏いない歴のお前が、随分的確なアドバイスしてるな」
「殺されたいか」
「怖っ」
安全確認も忘れず確認し、私達は機械を後にした。定時まであと数時間。母親の関係で、どうしても定時で上がらなければならない。と、なればこの数時間で悟と将生さんの仕事量をいかに減らすかが、私の仕事になる。
「日報締めてくるから、現場よろしくね」
そのまま私は、事務所に篭り、今日の日報を作成した。不良数と良品数と総生産数。電卓を使いながら、数に相違はないか調べていく。この作業が1番面倒くさく、いまだに苦手だ。数に問題があれば、すぐに確認を行わなければならない。
(不良数が未記入にも関わらず、良品数が足りない。再検査を手配しないと駄目だ。こっちは総生産数が合わないから、梱包ミスが起きているかもしれない。数が多すぎる、納期までには時間もあるし、正社員の多い日勤にやらせよう。夜勤では手が回らない。さて…)
私はある書類を手に取った。今日出た不良の報告書と現物だ。どれも先方で納期許可が下りているものにも関わらず、不良として扱われている。この勢いで捨て続けられれば、良品はごく僅かになってしまう。
「これくらいで捨てるなんてな。マジでやってられねぇ」
後ろから突然声がし、驚いて振り返ると将生さんが、眉を引くつかせながら、書類をみている。あまりこういう事は言いたくなかったが、彼は結構な頻度で現場を離れてサボっていることが多い。
「悟が困るよ」
「良いんだよ。少しは1人でやらせるべきなんだ。美咲は過保護な所があるから、たまには放っておくのもありだと思う」
「将生さんが入った頃は、私が忙しくてもお構いなしに、分かんない分かんないって騒いでベッタリだったのに。一人前になった将生さんは随分と冷たいんだね」
「昔の話しはするな」
彼は私の隣に座り、日報を読んでいる。今日はやけに寒い。椅子から立ち上がり、私は外を眺めた。
「あ、見て将生!!」
「何だよ、しかも呼び捨てだし…雪」
窓を開け、私は雪に触れた。ふわふわしている、雪なんて何年ぶりだろう。
「初雪だな。こりゃ積もるな」
「積もる!?」
「ガキかよ…」
言葉ではそう言うが、彼は自分の着ていたジャケットを私へ着させてくれた。温かい、心も体も温まっていく。ジャケットからは彼の柔軟剤が薫ってくる。このまま気持ちを言えたらいいのに。
「何だ?」
パチっと彼と目線があった。ドクドクと心臓が激しく脈打つ。私が口を開こうとした瞬間、視線を感じる。
(悟ぅぅ…)
ジッと小窓から悟が私達を見ている。マスクの下はニタニタとしているのが、遠目でも分かる。
「美咲?」
「あー…とっても寒いね」
「そりゃ雪が降ってるからな」
彼は窓を締め、私にカイロを渡してきた。
「女って身体冷やすの駄目なんだろ?ほら、もう定時だ。あとは俺がやっとくよ」
「…ありがとう」
「お疲れ、ゆっくり休めよ。ジャケットは着て帰りな」
「うん。また明日」
私は薄気味悪い視線に見られていることなど知らずに、そのまま退社した。このときの私は今日起こった出来事が、今後の生活にかなりの支障が出るなんて思いをしなかった。愛し愛され、憎み憎まれ、振り回し、振り回される。私と貴男と貴方の複雑な物語が始まった。
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