こどものままじゃいられない!

羽月

***

大人になれるっていいな。だってわたしはずっと子どものままなんだもの。


森の中で拾われて、神殿に併設したこの孤児院で十五年を過ごしてきた。小さい頃わたしと一緒に遊んでいた友だちたちはもうここにはいない。体が育ち、知識を身に着け、一人前の大人になってそれぞれの世界に羽ばたいていった。


――わたしだけ。わたしだけが、ずっと子どもの姿のまま。


正確にはわからないけど五歳くらいの外見の時に拾われたから、十五年経った今は二十歳くらいのはず。でもわたしの体はいまだ十歳以下にしか見られず、幼児体形そのまんま。


いいなあ、胸が大きくて。いいなあ、ちゃんと働けて。いいなあ、普通に恋ができて。


孤児院のみんなは、神殿のひとたちは、わたしの恩人は、いつまでも育つことがないわたしのことを個性だよと受け入れてくれる。いつまでも小さいまんま、育ててくれたご恩をまともに返すこともできないのに、いいんだよそのままのリュアで、そのうち大きくなれるよ、大丈夫だよ、と抱きしめてくれる。


――でも、そのうちっていつ? いつになったら、わたしは年相応の生き方ができるの?


受け入れて、認めて、与えてくれるひとばかりに囲まれて、本当に恵まれているはずなのに、心の中で渦巻き燻るものを、わたしはもうずっと止められないでいる。




――ああ、明日起きたら、大人になれていたらいいのに。




そう思いながら、今日も眠りにつくの。

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