400字詰めノ物語

Lie街

監禁日記 1日目

 あの日、最後に見た景色は大きな虹のかかる空だった。そこでぷつんと意識が途切れている。これは、だからあくまで予想なのだが私は後頭部を殴打されて気を失ったのではないかと考えた。それなら、後ろ頭に感じる鈍い痛みにも合点がいく。

 しかしここはどこだろうか。6畳ほどある部屋に机と椅子、空の本棚が一つ。机の上にはテーブルライトと万年筆と400字詰めの原稿用紙が乗っかていた。どこかの学校からここまで瞬間移動してきたみたいな見た目だ。かなり汚い。

 辺りを見渡すが暗くて何があるのかわからない。テーブルライトを持ち上げて壁を照らしてみるが、何もないどころか窓すらついていない。辛うじて入ってきたであろう扉があった。

 ドアノブを握るととてもひんやりとしていた。勢い良く引くと扉が開いて私はしりもちをついた。目線をあげるとそこにはより頑丈そうな扉がそびえていた。

 もう一つの扉はびくともしなかった。私はあきらめて机に向かった。

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