第28話 ホールド
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※お酒は二十歳になってから。
※お酒はおいしく適度に飲み方を考えて楽しみましょう。
※汚い表現が含まれるため、お食事中の方はお気をつけください。
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ウッ、頭痛い……。頭がガンガンする。
あまりの頭痛で、俺はパッと目が覚めた。
すこぶる気持ちが悪い。胃の中からこみ上げてくるような気持ち悪さはないものの、とにかく気持ちが悪い。
水……水が飲みたい。身体が干からびそうだ。
――そうか、これが二日酔いってやつなのか。
身体が重く、思うように動かない。何かが乗っかっているような感覚がある。
二日酔いって、頭痛と気持ち悪さだけじゃなくて、身体も重くなるんだな。
だめだ、何もしたくない、無気力だ……。
もっとお酒を知りたいとかお酒がほしいとか思ってた昨日の自分、ぶん殴りてえ……。
――ん? ていうか、ここどこだ?
何か、両側から圧をかけられてて、狭苦しいんだが……。
目を開けて、天井横の壁を見ると。
あれ、どこかで見たようなポスター。
青髪ショートヘアの鬼っ子メイドのイラスト。
居酒屋宴会芸が得意な青髪ダ女神のイラスト。
タブレット抱えてエロいイラスト描いてる白髪の妹のイラスト……。
あれ? これってもしかして……。
壁の下に目線を落とすと。
そこには、俺の方を向き、口を半開きにしてスヤスヤと眠るリオの顔が。
……って、ええええええええ!?!?!?!?
俺、もしかしてリオの部屋で寝てたの!?
閉じているまぶたから見える長いまつ毛。高い鼻筋。目尻の下にあるホクロ。口が半開きだからか、厚ぼったい唇が更に色っぽく見える。
こいつ、やっぱりすげー美人だなぁ……。なんだか、吸い込まれていくような……。
――とはいえ、こんなに距離が近いと、起きた時にまた誤解されて鉄拳パンチを喰らうかもしれない。
まずはここから一旦離れよう。
と思ったが、身体が思うように動かない。
二日酔いってこんなにダメージ食らうんだな……。
そう思いながら自分の腕の方を見ると。
リオが俺の腕をギュッと抱き抱えていた。
ぬおぉ!? ホールドされているだと!?
し、しかも! ちょうどTシャツがはちきれそうになっている胸の谷間の部分に! 俺の腕、いい感じにフィットしていやがる!!
ていうか! 脚! 俺の脚の上に、リオの脚が絡みつくように乗っかってる!
こいつショーパンだから! ぬくもりが! 生脚のぬくもりが、俺にダイレクトに伝わってきてる!!!
やばい、これは離れたくなくなってきた……。
――いかんいかん! 不可抗力とはいえ、気づかれたら大惨事になりかねん!
左半身は一旦諦めて、右半身だけでも動かしちゃえば……って、ん? 右半身も動かないぞ? 一旦どうなって――。
バッと逆を向くと、そこにはシングルベッドの端っこで、横になって寝ているマナミさんが。
露出度高めの白いUネックTシャツから、大きく膨らんだたわわな胸と谷間がこんにちはしている。
そして案の定、俺の腕をギュッと抱えられ、こんにちはしている中にジャストフィットしていた。
うおおおおおおおおおおおお!!!! 肉厚すぎる!!! ダイレクトすぎる!!!
両側から美女2人に拘束されてますやん!
一旦、何をどうすればリオとマナミさんに挟まれて寝ることができるんだ?
ていうかこの状況、ドキドキしすぎてやばい。
柔らかい拘束具、もうずっと拘束されてたい……。
だが、俺にはそれよりも見の危険が迫っていることを感じていた。頭痛と吐き気が襲ってきている。そして何より、水が飲みたくてたまならない。
まぁ、命と引き換えに、このまま挟まれて何もできないまま水が飲めなくて死ぬのも悪くは無い気がするけども……。
今はとにかく、そんな悠長なことは言ってられん! 名残惜しいけど、一刻も早くここから脱出しなくては!
とはいえ、どっちから先に抜け出そう。
マナミさんの方から抜け出した方が、起こしちゃったとしてもそこまで怒られなさそうだよな。でも、この肉厚な生の谷間をもっと味わっていたい……。
でも、リオの方から抜け出したときに、もし起こしちゃったりしたら、絶対ブチ切れるに決まってる。
しょうがない、ここは断腸の思いで、マナミさんの方から抜け出すか……。
右腕を引っ張ると。
マナミさんは「んん……」と言いながら、更に腕を身体に引き寄せた。
ううう! 来る! 感触が! 温度が! 伝わってくる!!!
――やばい、理性がぶっ飛びそうだ。
これ以上マナミさんに抱き寄せられていると、精神的にも保たない!
マナミさんの中から、俺の腕をぐいっと引っこ抜くと。
「んん……なぁに? まだ寝かせてよ……ってあれ? ヨウくん、起きたの?」
マナミさん、起きてしまった。
やっべえぇぇぇ!!! 案の定、起こしちゃったー!!!
「あ、あの……すみません、おはようございます」
「ふあぁぁぁ、おはよー。……ヨウくん、昨日はスゴかったねー。ウチ、久々にすっごく興奮しちゃったぁ」
え? スゴかった? 興奮しちゃった? 何の事でしょうか!?
もしかして、昨日俺とマナミさん、何か致してしまったということでしょうか!?
あぁ畜生、何も覚えてねぇ、トイレで吐いた後から何も覚えてねぇ!!!
「え、えーっと、僕、正直昨日のことあんまり覚えてなくて……あは、あはは……」
「えーっ? 覚えてないの? 残念だなぁー。……じゃあいまー、もう一回、再現しよっか」
マナミさん、にっこり微笑むと、仰向けで寝ている俺を下に、馬乗りでまたがってきた。
えっ? えっ? 何? 昨日俺はマナミさんに何をしていたの?
マナミさんが馬乗りするとか、どういう状況!?
マナミさん、すっごくニヤニヤしている。
「ちょっ! マナミさん、急にどうしたんですか!?」
「えー? これでも思い出せないのぉ? 仕方ないなぁ、そしたらぁ……」
マナミさん、周りを見渡し、ソファの横にあるローテーブルへ、何かを取ろうと手を伸ばした。
が、体制を崩して俺の顔のすぐ横に右腕をズンッと落とし。マナミさん、よつん這いになった。
うわああああああああああ!!!
よつん這いになってるおかげで、マナミさんのこんにちはしてる大きな胸が、俺の鼻にくっつきそうになってるうぅぅうぅぅ!!!!
触れたらヤバい、触れたらヤバい……!
当たらないように顔を左に向けると。
「ちょっとアンタ……こんなところで何してるの?」
リオが起きてしまった。マズイ!!!!!!!!!
「いや、これは、えーっと、俺もよく分かってなくて、記憶が無いっていうか、なんというか、記憶思い出すために再現してもらってるというか……」
しどろもどろになっている俺を、リオ、とてつもない鬼の形相で睨んできて。
「――ワタシのベッドで何してくれとるんじゃ、このヘンタイもやしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」
「ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
リオの怒声を浴びながら、俺は太ももの外側(モモカン)に強烈なミドルキックをお見舞いされ、ゴロゴロとベッドから転げ落ちたのであった。
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