1千万年2人で生きた話
上海公司
第1話 一千万年生きる薬
一千万年生きる事ができる薬を科学の先生が作ったらしい。
というわけで僕は放課後に実験室に侵入する事にした。別に一千万年生きる事に興味があったわけではない。ただスリルを楽しみたかっただけである。
ちなみに僕達の科学の先生というのは、とんでもなく巨乳で、若くて、芸能人で言うところの北川※子みたいな顔をした先生だ。
まぁ、別に先生を目的にして理科室に侵入したわけでもない。
僕は何かが起こる事を期待していたのだ。
だって僕はもう17歳になると言うのに、これと言って心を通わせることのできる友達がいない。彼女もいない。なんかつまらないのだ。
17歳っていったら、もっとこう、なんかワクワクして、毎日が楽しすぎて、いかにも青春って感じなのを想像してたのに。
そんなわけで、その一千万年生きる薬とやらを一目見たくて理科室に忍び込もうと思ったのである。ただスリルを楽しみたかっただけだ。
東校舎の3階、そこが実験室である。
僕は実験室に向かう途中、ひとりの女子生徒と鉢合わせた。
階段の踊り場から、彼女は僕を見下ろした。
同じクラスの山田加奈だった。彼女はいつも特に誰かと喋ることもなく、頭も運動神経も悪くて、文化部の幽霊部員で、それでブスだった。
僕達はお互いなぜ放課後にそんな場所にいるのかも考えることなく、ただただそこで鉢合わせになった事を不快に思いながら階段ですれ違った。
そうして僕は東校舎の3階にたどり着いた。
そこには白衣を纏った先生がいた。彼女が右手に持つフラスコの中には黄緑色をした奇怪な液体が泡を吹いている。
「待っていたわ。」
彼女はフラスコを掲げ、僕を見て言う。僕はなんと答えていいか分からず、黙っていた。
「これが君の探している、一千万年生きる事が出来る薬だよ。」
先生は僕を舐め回すように見ながら言った。
「ねぇ、飲んでみたい?」
僕は首を振った。僕はただスリルを楽しみたかっただけだ。
だって誰とも心を通わす事ができない、退屈な青春時代なんてつまらないじゃないか。
先生はゆっくりと僕の方に近づいてくると、
僕の耳元で囁いた。
「ほんとうに、飲んでみたくないの?」
そう言うと、彼女はなんとフラスコの中の黄緑色の液体を口に含んだ。
それからの僕の顔に両手を添えると、僕に口付けをした。
一千万年生きる事が出来る薬が、僕の中に流れ込んでくる。
僕は不思議な気持ちで、先生の口付けと、体の中に流れ込んでくる薬を感じ取った。
先生は唇を離すと僕に言った。
「おめでとう。これであなたは後一千万年生きる事が出来るわ。」
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