隆之介と猫

冬迷硝子

隆之介と猫




佐々木隆之介は、

普通の大学二年生。

学部は主に、心理学部

昼は大学へ行き、

夜はラーメン屋でバイトをしてる普通の大学生。


ある日、

隆乃介がバイトの帰りで歩いていると


一匹の猫がいた。


その猫を無視して、

隆乃介が歩いていると

その猫も隆乃介に続き歩いた。

振り向いてみると、

ふかふかの頬に少し途切れた傷があった。

何かあったんだろう思う。

それに気づいた隆乃介はその猫を抱き上げ家に帰った。


家に帰った隆乃介はその猫の腹減ってると思い、

夜食で食べようとしていたラーメンのスープを

傍にあった小さな器に入れその猫の前に置いた。

すると、

その猫はまさに3日間何も口に入れていなかったように勢いよく食べ始めた。

そして、その日は終わった。


翌日、

隆乃介はいつものように大学へ行こうと思って

ドアを閉めようとしたら猫が来た。


「しょーがないな。」


猫を外に出して、

一緒に大学へ行った。

隆乃介の大学は、

数少ない動物学部があるせいか、

ペット同伴が許されていた。

しかし、爬虫はちゅう類と両生類と魚類は禁止されていた。

その理由が女子生徒に被害を及ぼす可能性があるかららしい。

普通なら生徒全員だろ。

何故女子だけなのか…。


もちろん隆乃介以外でもペットを連れている学生もいる。

だいだいは犬や猫で、

わずかに鳥類も居る。

一体どこで捕ってきたのか。


しかし、ペット同伴の生徒は、

動物学科の中にある動物保護室に預けなくてはいけない。

隆乃介は動物保護室に行き、

猫を預けて、

一時限目の物理学にそなえて準備をしていた。


性格が優しい隆乃介は、

もしかしたら動物学の知り合い、

筧隼人かけいはやとに相談してみれば、

あの猫の傷が治るかもしれないと思った。

一時限目が終わり、

隆乃介は、動物学部に入った。

隼人を探した。

しかし本人は、動物保護室にいた。

隆乃介の猫を観察していた。

隼人に近寄る。


「その猫、俺の猫なんだよな。」

「そうなのか。へぇ、お前もペットを飼うようになったんだな。」

「まあな。」

「そういえば名前はつけたのか?名前が無いと呼べないぜ」

「ああ、そうだな。今日ぐらいにつけるよ。そういえばその傷どう思う?」

「そうだな…。この傷はただのすり傷だと思う。消毒しておけば自然と治すはずだ。治してやろうか?」

「いや、治さないでくれ」


この時、

隆乃介の考え方が変わった。

なにを思ってそんな発言をしてしまったんだろう。


「ん?なんでだ?治ったらこの子も喜ぶだろうに」

「その、何ていうんだろ…。

まあ記念見たいなもので残しておきたいんだ。

猫にも感情はあるかどうかわからないけど、

猫にとってもそうした方がいいと思うんだ」

「そうか。なら責任を持って育てろよ」

「あぁ」


そう答えて、動物保護室を後にした。

そして授業を終えてから、

その猫を引き取って連れて帰った。

そういえば明日から夏休みだ。

大学の夏休みは高校や中学に比べて遙かに長い。

約、2ヶ月半はある。

そう思いつつもバイトに行った。

給料がいつもより多かったので猫のキャットフードを買うことに決めた。


そうはと言っても、どうしたものか。


キャットフードにも色々と種類がある。

栄養重視で行った方がいいのか。

体内環境を整えた方がいいのか。

悩んで悩みぬいてどちらも入っているものを購入した。

帰宅後、

それを器に広げて猫にあげた。

小さな口を大きく広げて、ぱくぱくと食べている。


「そういえば名前を決めないとな、なににしようかな。」

その時、ドアがトントンと小さく鳴った。

そのわずかな音に気づいて出てみると、

そこに、人の姿がなかった。


「トントンダッシュか?」


ドアを閉めようとしたら、

下に一匹の猫がいた。

すると家にいた猫が訪問してきた猫にめがけて走っていった。


「お母さんかな。いやそれともお父さんか?まあいいか。とりあえず親が見つかったんだ。幸せに暮らせよ」


そう見送って、

玄関のドアを閉めた。


「ふう。これであいつの世話をしなくてよくなった。そういえば名前決めないままだったな。まあいいか。行ったんだし。」


そして、

またいつもの日常が戻ってきた。

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隆之介と猫 冬迷硝子 @liki010

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