依頼達成報告
帰ってきましたエストの街。
ハベルタのオークを全滅させたと報告をしたらギルド長のリーダさんに驚かれた。
「ハベルタの街のオークをたった6人で全滅させただと?」
正確にはまだアイテムボックスの中にオークが入ったままなので倒しては無いんだけどね。
しかも入ってるのは3000匹を超えているはず。
あとで上手い処分法を考えないとマズいな。
ギルド長は俺のギルドカードを見て頭を悩ませている。
「長年あの街を牛耳っていたオークを全滅したとは
正式な討伐認定は現地調査の後。
もし、討伐が認定されたら手柄は青春騎士団の物となり、そしてハベルタはエストの街の属領になるとのことだ。
「もしそんな事になったら、大変だぞ」
「大変て……なにか俺ヤバいことやっちゃいました?」
だだのモンスターと思ったオークは絶滅保護種で冒険者ギルドが保護してるのか?と思ったら全然違った。
「逆だ、大金持ちになる」
ハベルタの街の再興後、税収の5%が青春騎士団に入ってくる。
メンバーは6人なので一人あたり1%弱だ。
「そりゃ凄いな」
それを聞いた青春騎士団のメンバーたちは全員ほくほく顔だ。
念願の不労収入を得られることになった俺たち。
アレスさんが神妙な顔をして話して来た。
「今までタナオカさんには話してなかったんだけど実は俺とセレス、マルクとエリンは子どもこそ作ってなかったんだけど結婚しているみたいな関係なんだ」
あれだけ仲がいいんだもんな。
なんとなく知ってた。
「一応、俺たちの誓いとしてニケが結婚するまでは正式に結婚しないと決めていたんだがニケもタナオカさんと無事に結婚出来ましたしね。なので、そろそろ俺たちも正式に結婚して子どもを持ちたいなと思ってるんですよ」
まあ、夫婦みたいな関係ならする事もしてるんだろうし、子どもを作りたければ作ればいいんじゃないの?
なんで俺にそんな事のお伺いを立てるのかよくわからない。
マルクさんが俺がわからなかった事をわかり易く説明をしてくれた。
「ぶっちゃけた話を言うと、セレスとエレンが子どもを身籠ったらメンバーが減って青春騎士団のチーム活動が出来なくなる、場合によっては解散になるかもしれないんだけど構わないか?」
まあ、アレスさんたちもそんなに若くないからな。
子どもを作るのは早い方がいい。
いま子どもを作らずに、高齢出産ともなったら子どもが成人する頃には親は年を取ってよぼよぼなんてこともあり得るし。
不労所得を得られることになったので、そろそろ冒険者家業を引退して安定した仕事に就きたいのも解る。
冒険の仲間が居なくなるのは寂しいけど、ここは盛大に祝って送り出すべきだ。
「みなさま結婚おめでとうございます。俺としては大歓迎ですよ」
「祝ってくれるのか?」
「もちろんです」
「おおお、ありがとう。もしタナオカさんに止められたらどうしようかと悩んでたんです」
「じゃあ、今日はみんなで結婚祝いの飲み会をしましょう」
そう言って俺のおごりで飲み会だ。
アレスさんとマルクさんは余程うれしかったのか浴びるように酒を飲みまくっていた。
俺はセレスさんを呼ぶ。
「結婚祝いを渡さないといけないですね。いきなりだったのでろくな物を用意できてないんですがこれをどうぞ」
俺が鍵を渡すと首を傾げる。
「鍵? なんのカギなんですか?」
「ニケさんと使ってた家なんですけど、今は使ってないので差し上げます」
「い、家を? 本当に貰っちゃっていいんですか?」
「俺が持っていても使うことも無いので埃を被るだけです、どうぞ」
「ありがとうございます!」
セレスさんは酔っぱらってるアレスさんを連れて来て無理やり頭を下げさせる。
「ほら、タナオカさんにお礼して」
「どうした?」
「家を貰ったのよ」
「ほう、家を貰ったのか……えっ? 家を貰った?」
アレスさんは一瞬で
「俺の聞き違いか? 今家を貰ったと聞いたんだけど?」
「間違いじゃないわ、ほら」
セレスさんは鍵を取り出して頬ずりしている。
「これで、宿屋暮らしを卒業だ! タナオカさんありがとう!」
一軒家なら人の目を気にせず子づくりしまくれるので、存分に励んで早く子どもを産んでくれ。
それを聞いたマルクさんが拗ねる。
「なんだよアレスに家をやったのに俺には結婚祝いは無いのかよ?」
仲間なんだし、アレスさんだけに家をやってマルクさんには無しってわけにもいかないよな。
「お金は払いますから、自分で気に入った家を探しておいて下さいよ」
「いいのか?」
「お祝いですから、もちろんです。でも俺も大金を持ってるわけじゃないので、あんまり大きい家は止めてくださいね」
結局、アレスさんの家の隣が空き家だったのでそこに住んだみたいだ。
大きな出費は厳しかったけど、世話になった仲間に対するお礼だ。
それにニケさんと引き合わせてくれた大切な仲間だ、惜しくはない。
そんな感じで俺の大事な仲間の結婚のお祝いの席は無事に終わったのだった。
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