第3話 音

次に、あたしの耳。


耳なりがする事がある。


その理由がすぐにわかった。


友達が、野原で遊んでいた時、タンポポをむしり取ったり、桜の枝を折ったりしたから。


耳なりじゃない。植物の悲鳴だった。


あたしは、翌週、一人で、市が経営している無料の動物園に行った。

そしたら、驚いた。


動物達の気持ちがなんとなく分かってしまう。

喜怒哀楽とかの簡単な感情だけだけど。


動物達は、不思議そうにあたしを見るの。

「えっ、なんで?あんた、あたし達の気持ち判るの?」って感じで、猿でも、タヌキでも、ツルでも、みんながあたしを興味深そうに見てくるんだなぁ。これが。


あたしはビックリして、なんとなく、気味が悪くなって、近くの木によりかかった。


そしたら、木が何かを伝えているのも、分かってしまう。


植物の場合は、動物と違って、具体性がない。

動物がCDから再生される音楽だったとしたら、植物は、楽器単体の音だけ。植物の種類によって、高低差はある。


あとは、これもなんとなくなんだけど、生き物のオスメスが判る。


動物は100%。植物の場合は、なんとなく。


これは流石に頭がおかしいと思って、お母さんにも言えなかった。

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