第17話 テイム大作戦
絶景を眺めながらのピクニックを満喫した
「それなら、もっとお肉を持って帰れるね」
メルは
それぞれの予定が決定し、山小屋で温かい飲み物を飲みながら小休憩をとった
テイマーにとって、魔物をテイムすることは命懸けの仕事である。
基本的にテイムの条件はそれぞれの魔物によって異なる。その多くは対象となる魔物の習性を知る事によって推測する事が可能だが、その推測が正しいどうかは、実際にテイムしてみないと分からない。
更にテイムを行うには宣言魔法と言う風属性の魔法を発動させ、テイムに挑む旨を相手に宣言する必要があり、奇襲や騙し討ちなどの手段を用いることは出来ない。
当然、テイムは術者と対象となる魔物との一騎討ちの真剣勝負でしか成立せず、仮にテイムに成功したとしても、対象の魔物が術者に従ってくれるとは限らないのである。
この魔物除けのお香は当然の事ながらゴトッフにも有効なので、風向きを考慮して設置をしなければならない。
決戦の場を整えた
全ての準備を終えた
ゴトッフの雄には頭部に立派な角が二本生えているのだが、縄張り争いや雌の奪い合いで角が折れてしまうと負けとなるのである。
従って、立派な角が生えている雄は雄同士の決闘で勝ち続けている者であり、ハーレムの規模も大きくなるのだ。
コルレットから聞いた話では、ゴトッフの角は数年に一度生え変わるようなので、角が全てではないようであるが、目安としては十分な材料となる。
風妖精シフィーは任せろと言わんばかりに
やがて、高鳴る鼓動を感じながら深い呼吸で精神を高める
その鳴き声は地球に生息する山羊のような可愛らしいものではなく、
ゴトッフは唸り声を出しながら首を一振りすると、
事前に予想していた通り角は硬く、
その後もゴトッフは何度も突進を繰り返すが、
しかし、
その後も何度かゴトッフの突撃をいなした
合図を受けた地妖精ドニは
ゴトッフの足先には足場の悪い切り立った崖での移動を可能にする強靭な
その場面を目撃していた者ならば、誰もが勝負ありと思ったであろう。
しかし、ゴトッフが自慢の角で追撃を行うことは無かった。
何故なら、ゴトッフが前足を振り下ろしたと同時にゴトッフの角は根元から切断され、風音を立てながら地に落ちたからである。
実は、地妖精ドニが泥沼を作った時点で
ゴトッフがその巨体で足場の悪い断崖絶壁に住むことを可能にしているのが、先ほど発動した風属性の魔法による足場生成である。
その後、
遠距離から目標を狙って放つには、移動距離での衰退などを考慮する必要もあり技術を伴うが、配置して向こうから斬られに来るのであればその限りではない。
結果、好機を読み違えたゴトッフは、水中からは見ることが出来ない”水面の上にある水”に自らの角を当てに行ったのだ。
一瞬にして二つの角を失ったゴトッフは、状況が飲み込めないのか呆然と立ち尽くしていた。
この魔法は宣言魔法を用いて行ったテイムの成否を判別する事ができ、対象の魔物が敗北を認めテイムが成立した場合、術者と対象の魔物の間に魔力回路が形成され念話でお互いの意思を伝える事が可能になるのである。
ここでの交渉と言うのは戦後処理のようなもので、敗北を認めた魔獣は従属するか拒否するかの最終決断を行う。
仮に魔物が事実者への従属を拒否した場合、術者はその魔獣をテイムする事を諦めて解放するか止めを刺すかの選択を迫られるのだ。
「聞こえているかい?」
「……」
ゴトッフは未だに状況の把握ができていないようで、
「……私は負けたのか?」
ゴトッフは地面に転がっている自らの角に目線を送ると、囁くように言葉を漏らす。
「……そうか……」
「待たせて済まなかった」
落ち着きを取り戻したゴトッフは、
「私を従属すると言う事は、私の妻達も同時に従属させることになるが問題はないか?」
この世界にとっての契約とは神が管理する神聖で不可侵なものである。契約内容を細部に至るまで確認する行為は人族も魔獣も変わらないのだ。
「ああ、君の全てを受け入れるつもりだ。移動先で繁殖してもらっても問題はないし、環境が合わなかったらテイムを解消してこの場所に戻ってもらっても構わない」
ハーレムを構成してる雌達に集合をかける。
するとゴトッフの呼び掛けに応じたハーレムを構成する雌達が続々と集結し、あっという間に土筆とゴトッフを取り囲むのだった。
「主よ。我らに名を授けてくれないか?」
しかし、モーリスのハーレムを構成する雌のゴトッフ達は
後日、
要するに
無事にゴトッフをテイムすると言う目的を達成した
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