夏はスク水。濡れたころはさらなり。乾きかけもなほ、股から雫の多く零れ落ちがひたる。また、 新式旧式旧々式など、ほのかに違いを見るもをかし。そのまま漏らすもをかし

@dekai3

美人な先輩とお付き合い出来てハッピーエンド!やったぜ!!

「たっくんさぁ、スク水好きなんでしょ? 私も好きなんだよね、スク水」

「え、マジですか? 女性で好きって珍しい」

「そうそう、そうなんだよねぇ。昔っから周りでスク水好きなの私だけでさ、全然話が合わなかったのよ。だからたっくんがスク水好きって聞いた時は嬉しかったな」

「へぇ~、じゃ、じゃあさ、今度デートでもどうです? 25mのプールがある所に行ってみません?」

「いいの!? やったぁ! 行く行く!! スク水準備してくるよ!!」

「よっしゃ! じゃあ今度の日曜日に駅前でお願いします!!」

「うん! 駅前で!!」




 という会話をサークルの先輩のサヨ先輩としたのが木曜日の話で、そっから俺は一人暮らしを始めてから集めに集めた新旧スカートスパッツサーフチャック式の様々なスク水を並べてはサヨ先輩がどんなスク水を着て来てもボディビル大会の掛け声の様に即座に良い部分を見付けて褒めたたえる練習をして金曜日を過ごし、通販で手に入れた水着用ハンガーにスク水を着せて顔の部分にタブレットをおいてサヨ先輩の写真(サークルの集合写真を拡大した物)を表示させてはサヨ先輩にどんなタイプのスク水が一番似合うかの検証をして土曜日を過ごした。

 授業は一部を除きリモートなので大学に行く必要は無く、サークルの活動も夏のオタクの祭典がオリンピック関連でズレたりやらなかったりなのでノルマが無く、ついでの居酒屋のアルバイトも補助金を貰う為に時間短縮しているのでサヨ先輩とのスク水デートの準備に割く時間は沢山あった。

 沢山ありすぎてエクセルでどのスク水だったらどの掛け声を出すかの表を作り、ボイスロイドで読み上げてここの表現はこうした方がいいかもしれないなどの入念なリハーサルも行った。

 漫画研究会に所属している事からサヨ先輩もサブカルオタクなのは間違いないし、普段着の ピシッ としたカッコよさからはイラストを描くタイプではなくコスプレをするタイプで作品への愛を表現する人なんだろうというのが分かる。これは小学生の内から同人イベントに通っていた俺の経験からの判断。だいたいコスプレイヤーという人種は普段着もカッコイイのやカワイイを着たがる物で、普通の人と同じ格好は余りしない。あのオシャレで ピシッ としているのはモデルさんかコスプレイヤーか夜の街の女性ぐらいしか居ないはずで、モデルも夜の街の女性もコスプレみたいな物だから98%でサヨ先輩はコスプレイヤーだ。ただ、俺としてはサヨ先輩にはスク水よりも競泳水着の方が似合うんじゃないのかと思う。でも、それはそれとして長身巨乳のスラリとしたお姉さんが旧式スク水を着るのは見たいし、最近のサーフ式のやセパレートタイプの物を着ているのも見たい。

 コスプレイヤーが持っているスク水だとしたらだいたい旧式のスク水か新式のスク水だろう。一応、可能性としては最近流行りの競走馬の擬人化作品の水着がスパッツタイプなのでその可能性もあるかもしれない。オタクは流行に敏感じゃないといけない部分もあるし、こういう調査はお手の物だ。とりあえず想定としては新式を基本として4割で旧式、1割でスパッツタイプという予想を立てておく。

 そしてデートというからにはその後の食事コースとかも決めておかねばなるまい事を土曜日の深夜に思い付き、机の上のスク水を全部丁寧に畳んで衣服ボックスに入れてからプールの周りのオシャレようなカフェの検索をし、鉄板焼き小倉トーストとかいう変わった物が名物のちょうど良さそうな店を見付けて最早早朝と呼んでもいい時間に就寝して二時間ほどで起きて眠気覚ましに買い置きのクラフトボスを一気飲みして「さあ行くぞ!!」と意気込んで駅まで行って、集合時間の20分前だと言うのにキャリーバッグ(コスプレイヤー三種の神器の一つ)を引いたサヨ先輩(オシャレなワンピースに白い上着を着ていてオシャレな帽子とサングラスをしている)を見かけて元気よく「おはようございますサヨ先輩!」と声をかけたらサヨ先輩からも「おはようたっくん!」って物凄く良い笑顔であいさつが返って来たから、これは水着デートをOKして貰えた時点でもしかしてだったけどもしかしてだなと思い始めて、先輩が「えっへへ、たっくんがスク水好きだっていうからどれにしようま迷って全部持ってきちゃった」って言うもんだから想定外だけど嬉しすぎて浮かれに浮かれて「じゃあ、早速行きましょう!」と俺にしては珍しくリードする言葉をかけて駅からバスに乗ってウォータースライダーや波のプールや流れるプールと一緒に140cmぐらい深さの25mプールがある県営の大型の自然公園に辿り着いてバスから降りてプールのある建物(スケート場もある)までサヨ先輩と天気とか最近のアニメみたいな当たり障りのない話をしつつゆっくりと歩き、受付で大人のチケットをそれぞれで購入してじゃあ後は着替えてから中で待ち合わせねって話をしようとした時にサヨ先輩から


「はい、これ。ちゃんとたっくんのサイズに合いそうなので持ってきたから」


 と、キャリーバッグを渡された。


「えっ!?」

「出来れば30分おきぐらいに着替えて欲しいし、ちゃんと毎回プールの水には浸かってね。あ、使用後はそのまま返してくれていいから。洗濯とかこっちでするから。グヒヒ」


 俺が驚いている隙ににこやかに手を振りながら女性更衣室へと消えて行くサヨ先輩。最後にとてつもなく下卑た笑顔が見えた気がするけど、多分あれは気のせいだろう。気のせいだよな?

 というか、キャリーを渡されても困るんですけど? サヨ先輩は他にもバッグを持っていたからあっちに水着が入っているって事? じゃあこのキャリーの中身は?


 しばらく更衣室への分かれ道でキャリーバッグを受け取ったままの体制で考え出す俺。

 考えろ。

 考えろ。

 これはもしかしたら途轍もない勘違いを犯している可能性がある。その可能性を除外して、なんとか他にありそうな可能性を思いつくんだ。

 キャリーバッグの中を見れば一発で何をどう勘違いしていたのか分かるに違いないが、それでも他の可能性を考えるんだ。もしかしたらそっちの可能性もあるのかもしれないから。


「ごめんねぇ~、立ち止まらずに中へ入ってねぇ~」

「あ、はい」


 しかし、通路上で考え事をするのは邪魔だから止めろと受付の人から言われたので、観念して男子更衣室へと向かう。

 そして、念の為にカーテンで仕切られている個室へ入り、イスの上にキャリーバッグを乗っけて ジジジッ とジッパーを開けて中を開く。

 すると、そこには一枚一枚丁寧にジップロックに入ってそれぞれにサヨ先輩の手書きでメーカー名や素材名やどこどこの小学校で採用されているという情報が書かれた紙と共に入っているスクール水着。


 そう、スクール水着。


 キャリーバッグいっぱいの、スクール水着(男児用)



「うわぁ……」


 色々とショックで叫びたかったけど、それより先にドン引きの声が出た。

 いや確かに『スク水』としか言わなかったから男児用か女児用か分からないけど、スク水って言ったら普通は女児用じゃない? どっちかって言うと男児用は海パンとか言わない? スク水で画像投稿サイトを検索したら絶対女児用だらけだって。というか流石に俺が未だに身長150cm未満でよく中学生に間違えられるからって男児用スク水はちょっと無くない? これとかめちゃくちゃ ピチッ としてるし穿いただけでもっこりしちゃうって。こんなん小中学生に穿かせてるとか教育委員会頭おかしいんじゃないの? あ、こっちのはトランクスに似てて布の余裕あるわ。これも、これもか。へー、男児用でも結構違いってあるんだな。この横に入っている白いラインは女児用にもあったりするな。これを採用している学校の女児用のスク水も同じラインがあったりするんだろうか。にしても数多すぎないこれ? サヨ先輩ってもしかしてかなりやばい人なんじゃ…いや、俺も女児用スク水沢山持ってるけど、流石にこの量は持ってないし、ここまで細かいデータ作って無いって。どうしようこれ。一応自分で持ってきたトランクスタイプの水着あるし、これ穿いて行っちゃダメかなぁ? サヨ先輩に正直に「男児用とは思いませんでした!」って言ってこれはキャリーごと返したほうがいいよな。うん。そうしよう。流石に美人の先輩と水着デートだって言っても男児用スク水で人前に出るのは恥ずかしいから無理。ジップロックからはまだ出してないんだし、このままキャリーバッグに仕舞って持ってきた水着を着よう。そうしよう。


テロリン♪


 丁度キャリーバッグのジッパーを閉めようとした瞬間に届くメッセージ。

 余りのタイミングの良さにもしや監視されているんじゃないかと思うが、ここは更衣室なのでそんな事は無い筈。無いよな? なので、心臓が ビクッ と飛び跳ねたけどなんとか平常心を保ちつつスマホを取り出し、通知を見る。

 メッセージの相手は勿論サヨ先輩で、本文には『私は旧スクだよ♪』の文字と添付された画像が……






 高身長巨乳美人の旧スク最高!!

 はーい! 男児用スク水穿きまーす!!!!





「うわぁ、たっくん凄いスク水似合うぅぅぅぅ」

「サヨ先輩の旧スクもいいですよ。その『3-Aさよ』って名札最高です!!!」

「でっしょぉ~? これ高校の時に実際に来ていた水着なんだから。あ、たっくんちゃんとプールから出る時は階段じゃなくてヘリからよいしょって感じで出て? 水圧で水着が脱げそうになる感じを出しながら」

「サヨ先輩も後で股からありがとう水垂らして下さいよ?」

「いいよ。排水部も見る?」

「いいんですか!? 俺なんでも穿きますよ!!!」





 こうして俺とサヨ先輩はスク水カップルとして付き合い始める事になるのだが、どうもサヨ先輩はスク水フェチというよりショタコンの気の方が強いらしく、デートの日はブリーフを穿いて来てくれだの半ズボンに野球帽で来て欲しいだのと要求をされる事が多い。

 その分、俺もサヨ先輩に色んな水着を着て貰ったり、スク水に薄めたブリーチをかけるとプールに浸かった後の塩素の臭いがするから使等の豆知識を教えて貰ったりしている。

 だからこれはフェア。フェアなお付き合い。

 の筈なんだけど、最近ブリーフにウン筋を付けてくれだのちょっとおしっこを漏らしてくれだのどう考えても特殊な注文が増えて来ていて困っている。

 でもまあ、美人な先輩とお付き合い出来ているんだし、これは間違いなく勝ち組だよな。彼女の性癖がヤバいぐらいなんて事ないさ!

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夏はスク水。濡れたころはさらなり。乾きかけもなほ、股から雫の多く零れ落ちがひたる。また、 新式旧式旧々式など、ほのかに違いを見るもをかし。そのまま漏らすもをかし @dekai3

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