第26話 わたし、涙が出てこないよ。
お父さんが、心臓のとまったわたしの体を治療しているのをテレビで見ながら、ユウレイになったわたしの体は……少しずつ少しずつ、上へ上へとフワフワと浮かんでいった。
わたしの手をつかんで、ひっしになって引っ張っている
「ミコ!
「凪斗くんは、天井に両足をかけて思いっきりふんばった」
わたしは、少しだけ、ほんの少しだけだけど下へとひっぱられた。
「ミコちゃん!
「ミコちゃん! 頼むから
「ボク、ミコちゃんの影武者だよ! ミコちゃんのこと、もっともっと知りたいよ!
ミコちゃんと、もっともっとお話ししたいよ! ダンスのこととか、オシャレのこととか……もっともっとお話ししたいよ! ボク、ミコちゃんのこと好きだもん! だから、もっともっと知りたいんだ! だからミコちゃん!
わたしは、泣いている
今度は、
「ミコ様、申し訳ありません。僕がふがいないばっかりに、僕が油断したばっかりに……僕がネズミの鬼の正体を気づけなかったばっかりに、本当に申し訳ありません。申し訳ありません!
ミコ様、どうか……どうか……
わたしは、泣いている
天井に足をかけて思いっきりふんばっている
「ミコ! お前はバカか!! なんで
おまえは神様だぞ! 俺は神様を護るナイトなんだぞ! 絶対にお前を護るんだぞ!
死んでどうする! 神様が死んでどうする! ナイトより先に死んでどうする!! そんなバカげたことあるか!!
バカ! バカミコ!
わたしは、泣いている
わたしのからだは、ナイトの三人にひっぱられながら……でも、少しずつフワフワと上にあがっていった。
ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……。
テレビの中から、機械的なリズムの電子音が聞こえてくる。
「反応は?」
お父さんが蛍光カラーのイルカに聞いた。
『生体反応ありません。
心臓マッサージを続けますか?』
「……ああ」
『
「…………………………」
お父さんは、言葉をうしなっていた。顔は真っ青だ。
わたしのからだが、フワッと上昇した。
「えぇ!? そんな、ウソでしょ……!」
わたしのからだが、フワッと上昇した。
「
わたしのからだが、フワッと上昇した。
「……Hey! オルカ!」
テレビから、蛍光カラーのイルカの声が聞こえてくる。
『なんでしょう?
「その確率は本当か?
心臓マッサージでの蘇生確率は、本当の本当か?」
『本当の本当です。
心臓マッサージでミコ様が蘇生する確率は約〇.八パーセントです』
「それは、心臓マッサージでだよな?
ひょっとして、他の方法があるんじゃないのか!?」
『はい。あります』
「その方法で、ミコ様が生き返る確率は!?」
『六八.二六八九四九二パーセントです』
「じゃあ、それを実行! 大急ぎで!!」
『OK!
ミコ様の心臓と同化。処理を実行します』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます