意味のないこと

門前払 勝無

第1話

 アタシの笑顔…。


「キモい…」

自分で自分を否定する。

 歯磨きしながら自分の顔を見ていると…虚しくなる。

 他人はアタシを可愛いとか美人とか言うけれど、アタシは自分が嫌い…。嫌いな人に愛想笑いしたり自己主張を心の中だけでしていて他人には話を合わせたり…自分で何がしたいのか解らない…嫌いな人に嫌われたくないとか思ってるアタシは馬鹿みたい…なのに…アタシは他人に愛想笑いする。

 嫌な癖だと思うよ…。


 でも、明日は来る。

 見えないスカーフを纏って歩き出す。誰からも連絡なんて来ないのに携帯をチェックする。

 誰も見てないのに振り返る。電車を待ちながらすかしてみる。流れる景色をただ…見つめる。会社の人達への顔を作る。フリスクを二つ口に入れて息を爽やかにしておく…。堀切菖蒲園駅のホームの下にいつもの野良猫…相変わらず目付きが悪い…でも、憧れてしまう。アタシが野良猫だったら目付きの鋭い彼と結ばれたい…今は失ってしまった本能で生きてみたい。


 また、意味の無い妄想をしてしまった。

 目を閉じて…目を開ける、そして…また、あそこへ向かう。


おわり

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意味のないこと 門前払 勝無 @kaburemono

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