ただしさをもつちすじ
バブみ道日丿宮組
お題:正しい祖母 制限時間:15分
ただしさをもつちすじ
家の中では不自由はなかった。学校でももちろんそんなことはなかったのだけど……。
「……」
一人で食べるご飯というのは味気なかった。
学校であれば、クラスメイトが友だちという題名で付き合ってはくれてる。そのせいでまともな会話をした記憶が少ない。
みんな、皆が私の家柄の前ではどうすることもできない。なにかして悪く思われないようにするのが精一杯。
「ーーを呼んで」
部屋の隅にいた侍女が私の声に反応する。
いるようないないような存在だ。
数分待った後に、
「失礼します」
クラスメイトの一人でもあって、親族関係でもある女子生徒が部屋に入ってくる。
「あなたも私とご飯を取りなさい」
そう指示を加えると、侍女は部屋を出ていった。彼女用の食事を取りに行ったのだろう。
「ほら、今は二人っきりでしょ。いつもみたいにして頂戴」
はぁというため息が耳に入る。
「お嬢様はあの叔母さまの子どもなのですよ。もう少し認識力を高めてください」
「お母様といっても祖母だよ。睡眠状態の人間にお父様という精子を入れ込んで産ませた異端の子。それが私」
「……気持ち悪がってる人物はいません」
ゆっくりと隣の席へと彼女は座る。
「そうしたら自分の立ち位置がなくなるからでしょ。お母様はかれこれ15年も目を開けてない。子どもを作ることに成功したお父様が実質権限を持ってるーーそんな状態」
親子と感じたことは一度もない。
側にいないし、必要なときもいない。いてほしくないときにはいる。まさに悪魔のような人物。
「私はお姉ちゃんみたいな人が家族にほしい」
「はは。ありがとうございます」
彼女が優しく私の髪をなでてくれる。
この優しさだけが私の生きがいだった。
「食事をお持ちいたしました」
ノックとともに告げられた言葉で、
「お願い」
撫でる手は止まり侍女が食事を配膳してく。
「あなたは下がっていいわ。ようができたら呼ぶから」
はいと侍女は静かに部屋を出ていった。
代わりに残ったのはスマートフォン。これのアプリを押すことで侍女に連絡がいく設定となってる。これはブザーにもなっており、いざってときの防犯用具。
「お姉ちゃんと食べるのも久しぶり」
「そうですね。叔母様のお世話と、警備訓練が多かったものですから」
「敬語は二人っきりでもやめてくれないの?」
「いざってときがありますし」
「じゃぁベッドで一緒に眠るときはして頂戴」
わかりましたと彼女ははにかんだ。
腹違いのお姉ちゃんはこの家じゃ身分が下の方。私は祖母から産まれたから上という上。
ほんといい迷惑。
いつかそんな関係が壊れればいいのにと私はお姉ちゃんと食事を共にした。
ただしさをもつちすじ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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