かり

バブみ道日丿宮組

お題:大人の食事 制限時間:15分

かり

 四肢を上手にきれるようになれば大人とされる。

 僕はまだ上手くきれない。骨が固くてうまく包丁が入らないことが多い。熱帯雨林の動物であればもう少し肉と皮があるらしいのだけど、ここじゃほとんどその真逆だ。

「大丈夫?」

「大丈夫」

 狩りは二人一組で行う。

 相方は可愛い女の子。女の子であっても刃物を持てば立派なハンター。実のところ僕よりうまい。本当だったら解体も彼女がやったほうが早いだろう。

 でも、僕は男だからやっぱり見栄を張りたいし、いいところを見せたい。

「アキレス腱は意外と硬いから熱した刃物がいいよ」

 彼女はライターで火を起こした。

「そうなの?」

「うん。断末魔がうるさいけどね」

 熱した刃物を彼女は獲物に当てる。彼女が言う通り、『やめてくれぇ』と獲物が叫んだ。

「これじゃあ息を止めた方が静かでいいんじゃない?」

「味が変わるから駄目。踊り焼きってわかる?」

「うん。生きたまま料理することだよね」

 彼女は頷き、刃物でアキレス腱をきった。

「街まで生きたまま持ってくことは不可能だけど、解体のときぐらいはそうした方が多少味が変わるの」

 なるほど。

 結局僕は彼女の解体を見るがまま終わってしまった。

「余分なところは他の動物のために残しておくのがいいわ」

「過剰な悪意がでない?」

「そうね。仲間が見たらそう思うかもしれない」

 よいしょと彼女は肉が詰まった袋を背負う。僕も急いで背負った。

「そうならないようにはやくこの場所を離れましょう」

「うん」

 歩きだすと、

「……仲間がいたら狩ればいいだけだけど」

 彼女はそうつぶやいた。


 街に戻ると、大人たちが子どもたちが狩りで仕留めてきた獲物をさらに解体してた。僕たちも大人に渡して、今日の食事を手渡された。

「今日のは薄味ね」

「運動した後だから塩分を欲してるんだと思う」

「そう。知らなかったわ」

 彼女が微笑んだので僕は少しうれしくなった。

 狩りに出たものは1週間の休みをもらえる。僕はせっかくだから彼女と生活することにした。彼女は許可してくれた。

 そうしてなんだかんだ一週間がたち、狩りの時間が再びはじまる。

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かり バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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