寝起き
バブみ道日丿宮組
お題:遠い言い訳 制限時間:15分
寝起き
「神が現れるわ」
授業中に幼馴染の少女が突如として立ち上がった。
「ーーさん、どうしました?」
教室内がざわつく。注目が幼馴染に集まるなか……神、神と言葉を繰り返す。
これはひょっとするとアレな感じなのではと焦った俺は、
「あぁ、昨日のゲームがですね」
と、無理矢理に座らせる。
「遊ぶのもいいですけど、授業は集中してくださいね」
教師は一吹きため息を吐いて、授業に戻ろうとしたが生徒たちのざわつきは収まらなかった。
「はいはい、自由時間じゃないですよ。騒いでる人は内申点下げますからねー」
今度は不満の声があがったが、すぐ静かになった。
俺はというと、幼馴染の顔を見て愕然とした。
「……」
けれど、内申点のためにも声をかけるのはやめて、手だけ握りしめた。
それから休憩時間になるまで集中はできなかったけど、幼馴染が暴れることはなかった。
で
授業後には散々冷やかされた。
ずっと手を握りしめてたのだからいいわけが見つからない。落ち着かせるためとは答えたけど、全く無意味。血が沸騰しそうな俺と比べて幼馴染は青い。まるで血が巡ってないかのように冷めてた。
それからお昼休みになるまで彼女は席に座ったまま動かなかった。
動かないことは別におかしいことじゃない。教室に一人くらいは物静かで喋らないやつはいる……まぁトイレとかにはいくが。
心配はしても本人でない限りわからないというか、男女の違いでそれを聞くわけにも行かず昼に早退することにした。
手をつないで教室の外まで出てまた騒がれたけど、無視した。
今は自分のことよりも幼馴染のことを第一に考えた。
「……ほら、寝ていいぞ」
勝手知ったる彼女の部屋まで連れ帰り、彼女をベッドへ座らすと数秒持たずして寝息を立てたので静かに横たわせて布団をかけた。
「……はぁ」
4年ぶりかな。
起きたまま寝るという彼女のある意味天才的な天災睡眠方法。ずっと側にいたものしか気づかないなんてことのないことなのだけど……周りにはもう俺しかいないが。
寝起き バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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