猫のみち

バブみ道日丿宮組

お題:猫のエリート 制限時間:15分

猫のみち

 最近我が家の猫の散歩を追跡してるといろいろな猫がいるのがわかった。我が物顔の大将やら、先輩に顔があがらない後輩タイプやら、後をずっとついてくるストーカーなどなど。

 うちの猫はその中でエリートタイプのようだ。

 たくさんの猫たちがいる公園で彼は高い位置で彼らに何かを伝えてる。もちろん猫語がわかる私ではないので何を言ってるかはわからない。

 だが、真剣な表情で鳴く猫はカリスマ性が強い。

「……」

 公園のベンチの上から眺めてると、猫の集団にとある少女が近づいていった。あれは幼馴染の妹だ。何をするのだろうかと思いきや、猫たち全員を撫で回すという我が道を行くスタイル。

 猫は猫たちは嫌がる素振りを見せない。

 きっとこれは日常的によくあることなのだろう。うちの猫をなで終わるとこっちに気づいた。

「こんにちわ」

 近くまで寄った少女は笑う。

「こんにちわ。散歩?」

「ううん、学校の帰り」

 少女は制服姿だったのだからそれもそうか。

「お兄さんこそ散歩?」

「そうだね。大学が休みだったから暇つぶしに」

 猫たちを指差す。

「あのこたちいつもあそこで集会してるんだ」

「集会か。話には聞いたことあるな」

「あのね。撫でさせてもらえるまで苦労したんだ」

 もじもじと少女は恥じらう。

「そっか偉いな」

 何が偉いのかととっさに出てしまった言葉に困惑しながら、少女の頭をなでた。

 少女はんーとすっぱそうな表情を浮かべながらされるがままになってくれた。

 幼馴染が教えてくれたけど、僕に撫でられるのはとても気持ちがいいことらしく。その妹は特に大好きなのだと。だからじゃないが、こうしてよく頭を撫でてる。

「うちの猫はこうしてあまり撫でさせてくれないんだよな」

「そうなの? お利口さんだから何か報酬としてほしいのかもしれないよ」

 撫で終えるとえへへと少女は笑った。

「報酬か。親とかがほとんど面倒見てるから……あまり関わってないからかな」

「お兄さんをライバルと思ってるかもしれないよ」

「ライバル? 競うようなことはなにもないよ?」

 少女は頭を振る。

「親御さんの愛を奪い合ってると思うの」

 むーと少女はうなる。

「愛か……」

「お姉ちゃんとお兄さんのようなものだよ」

「そっか」

 幼馴染とは恋仲でもある。猫からすると遠い存在なのかもしれない。

「お姉ちゃんはもう帰ってる?」

「うん。一緒に行く?」

 少女が手を差し伸ばしてきたので、僕は握りしめた。

 肩越しに猫たちを一度見て、僕を引っ張る少女の後ろを静かについていった。

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猫のみち バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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