昔の私

@riyouta4422

第1話

昔の私はまるでネズミだった、

歯並びは悪く、体のどこかが痒い

常にどこかを触ってるのだ、例えば耳の裏、

目の下、鼻、あご、肩や下の方も

そうしてそのまま手も洗わずに、スマホを触ったり

人と交流したり笑ったりするのだ。


その笑顔が美しかったかどうか?


それはきっと想像できるだろう。

歯並びは悪く前歯は交差し、片方は少し前の方に出ている

腕にはtattooが入っている。

それも可愛いものではない。


一周ぐるっとベルトのような黒い何学模様のような

帯。

それが二の腕に太く巻きついているのだ。


その後の彼はもう別嬪さ。


何が変わったかって、彼の中にある芯の部分が

活性化したのさ。


しばらく何も無かった山が突然火山を噴火したかのように

再び真に熱を帯びて。。。


と誰かが言った。


私は信じられなかったがその男の話を

盗みぎぎした。


信じられるかい?

あのカナメが今じゃイタリアで俳優をやってるんだってさ!


歯並びも治ってて、マッチョらしいぜ。


ふ、この人は何もわかっていない。


まあ人間何が起こるかなんてわかったもんじゃないってことですよね。


この人はもっとわかっていない。

きっと話すらあまり聞いて無いのだろう。


私は何も変わっちゃいない。

ただ、掴んだツルが私を連れて行った先に

咲いている果実を疑わずに食べ続けただけだ。


私はさりげなく隣に座り、マスターにビールを頼んだ。


マスターは私の目を不思議そうで何か引っかかっているような目で

私を見つめていた。


何か言いたげだったが、私はあまり目を合わせすぎると

マスターのその言いたげな口が言葉を吐き出すと

わかっていたので、目を合わすことなく、ビールを待った。













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