出・発
「よぉーし!いってこーーーい!!!」
開口一番、扉を開けてクエストに出発する俺たちを親父たちが見送りしてくれた。
だけど。
「朝からうるっせーーんだよ!バカ親父!!」
「おぉ!元気いいな次郎!!それぐらい元気があれば大丈夫だ!!いってこい!!」
「ふふっ、じゃあ気をつけてね。シイナちゃん、次郎をよろしくね。」
「はい。私がしっかり見張っておきます。」
と、横目で俺を見ながらない胸を張って見せていた。
やめておけ、虚しいぞ。
そう言いかけて、言葉を引っ込める。シイナから少し殺気を感じたからだ。どうやら俺の気配察知スキルは高いらしい。
集合場所は唯一の国の出入り口『ゲート』の前だ。そろそろゲートが見えてきそうになったとき、そこにはもう3人が俺たちを待っていた。
「おっそーい!何ちんたらしてんのよ!」
「まぁまぁいいじゃないですか。無事来てくれたんですから。」
「じろー、きょうミチルおべんとーつくってきたんだよー。いっしょにたべよー。」
「おはようみんな。ミチルちゃん一人でお弁当作ったの?えらいなぁ。」
よしよしと頭を撫でる。ミチルちゃんも目をギュッと瞑りながら少し照れ笑いをしていた。
かわいいすぎるよ、ミチル、ちゃん...
「えへへ〜、おかーさんにもてつだってもらったんだけどね、ちょっと。ちょっとだけね。ミチルがちゃんとあさはやおきしてつくったんだよ。」
「えらい!えらすぎるよミチルちゃん!大きくなったらとんでもない完璧美少女になるよぉ!」
ちなみに今は完璧美幼女だ。ミチルちゃんはいついかなるときでも完璧なのだ。そのためつけられた異名が『ザ・パーフェクト』ミチルちゃんにふさわしい異名だ。ちなみにちなみにこれは俺が考えた。....って、あれ?そんなこといつ考えたっけ。
「すごいねぇ、ミチルちゃん。」
「シイナおねーちゃんたちのぶんもあるよ。ほら。」
手提げの中からさらにお弁当が三つ出てきた。これがザ・パーフェクトの力か!
「うふふ、じゃぁ、クエストがひと段落ついたらみんなで食べましょうね。」
「うへへ〜、たのしみぃ。」
初クエスト前。ここまで緊張感がないのもいいんだろうか。まっ、どうせ低級クエストなんだからてきとーに草むしったり雑魚狩りでもしてりゃいいんだろうしな。問題はないか。
さて、そろそろ行きますか。
「じゃぁみんな!行こうぜ!!」
「いや、まだですよ。」
「まだだめだよ。」
「バッカじゃないの。」
おい!なんなんだよ!どんだけお前たちお喋りしたいわけ?クエスト一生行けねぇじゃん!俺が頑張って腹から声出して自分の中で1番のイケボで号令出したのに呆気なくスルーかよ!
「っておい!なんでだよ!」
「今回のクエストは依頼者も一緒にくる同行クエストだからよ!」
「は、はぁ?同行クエストォ?」
んだそりゃぁ、聞いたことねぇぞ?
「かったりぃなぁ。どうせ髭はやして酒抱えた酒くせぇおっさんとかだろ?そんなもん同行したって...」
「あっ、すみませ〜ん。今日の同行クエストのパーティさんですかぁ?」
街の方から一人のお美しい女性が駆け足でこちらに走ってきた。小さなポーチを斜めにかけながら。走ることで女性のそれは、大きく...上下に...
「はい。如何にも、今回あなた様と同行クエストに参加させていただくパーティです。私はリーダーの次郎です。どうぞよろしくお願いいたします。」
よし
第一印象は完璧だ。
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