ねぇ、しろちゃん
茉莉花 しろ
*
初めてしろちゃんと出会ったのは大体一年前。
いきなり知らない場所に連れて来られた私は怖くてすぐに隠れた。
毎日話しかけてくる彼女の名前はしろちゃん。
いつも私にご飯をくれる。
最初は本当に怖くて、ご飯を食べる時以外はいつも隠れていた。
小さい時のように、いじめられるんじゃないかと思った。
でも、しろちゃんは毎日根気よく話しかけてくれて、少しずつ彼女の隣が居心地の良い場所になっていた。
しろちゃんと一緒に住んでいる男の子は昔から知っている。
しろちゃんは、彼の彼女らしい。
激しい喧嘩をする時もあった。
お互いに叫んで物を投げ合ったりしていた。
何を言っているかは私には分からなかったけど、「やめて!」と私が言えば二人とも笑顔になっていた。
しろちゃんが一人で泣いていた時も、「泣かないで」と言ったらしろちゃんはもっと泣いた。
でも、すぐに泣き止んで私を優しく撫でてくれた。
いつまでも、しろちゃんと一緒にいられると思った。
だけど、私の体はすでにガタがきていた。
自分の体も上手く動かせなくなった。
しろちゃん、しろちゃん、私、もう、ダメみたい。
頭がふわふわして、前が見えない。
あれ、しろちゃん、どうしたの?
何で、そんな悲しそうな声をしているの?
泣かないで。私がいるよ。
私が言うと、しろちゃんはもっと泣いた。
何も考えられない中、私は知らない人に体を触られた。
いつもなら威嚇するけど、今はもうそんな元気もない。
そこで何かを話していたのは、前の家の人。
彼女も泣いていた。
あぁ、私、死ぬんだ。
まだ、しろちゃんと一緒に居たかった。
あの二人、また喧嘩しないか心配だなぁ。
しろちゃん、また一人で泣いていないかなぁ。
そうだ、あの子の夢でお別れを言おう。
そしたら、彼女達はきっと幸せになってくれるはず。
じゃあ、ばいばい。
しろちゃん、元気でね。
また、何処かで会おうね。
「にゃ〜」
ねぇ、しろちゃん 茉莉花 しろ @21650027
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