ねぇ、しろちゃん

茉莉花 しろ

初めてしろちゃんと出会ったのは大体一年前。


いきなり知らない場所に連れて来られた私は怖くてすぐに隠れた。


毎日話しかけてくる彼女の名前はしろちゃん。


いつも私にご飯をくれる。


最初は本当に怖くて、ご飯を食べる時以外はいつも隠れていた。


小さい時のように、いじめられるんじゃないかと思った。


でも、しろちゃんは毎日根気よく話しかけてくれて、少しずつ彼女の隣が居心地の良い場所になっていた。


しろちゃんと一緒に住んでいる男の子は昔から知っている。


しろちゃんは、彼の彼女らしい。


激しい喧嘩をする時もあった。


お互いに叫んで物を投げ合ったりしていた。


何を言っているかは私には分からなかったけど、「やめて!」と私が言えば二人とも笑顔になっていた。


しろちゃんが一人で泣いていた時も、「泣かないで」と言ったらしろちゃんはもっと泣いた。


でも、すぐに泣き止んで私を優しく撫でてくれた。


いつまでも、しろちゃんと一緒にいられると思った。


だけど、私の体はすでにガタがきていた。


自分の体も上手く動かせなくなった。


しろちゃん、しろちゃん、私、もう、ダメみたい。


頭がふわふわして、前が見えない。


あれ、しろちゃん、どうしたの?


何で、そんな悲しそうな声をしているの?


泣かないで。私がいるよ。


私が言うと、しろちゃんはもっと泣いた。


何も考えられない中、私は知らない人に体を触られた。


いつもなら威嚇するけど、今はもうそんな元気もない。


そこで何かを話していたのは、前の家の人。


彼女も泣いていた。


あぁ、私、死ぬんだ。


まだ、しろちゃんと一緒に居たかった。


あの二人、また喧嘩しないか心配だなぁ。


しろちゃん、また一人で泣いていないかなぁ。


そうだ、あの子の夢でお別れを言おう。


そしたら、彼女達はきっと幸せになってくれるはず。


じゃあ、ばいばい。


しろちゃん、元気でね。


また、何処かで会おうね。


「にゃ〜」


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