第25話「チーム結成」
彼らが交易ギルドに顔を出すと、シュオが喜んで出迎えた。
「おお、【宝蛇殺し】レオン殿じゃないか。こちらのお嬢さんは?」
「エヴァといって俺のチームに入る予定です」
礼音が答えると、エヴァがにっこりと笑う。
「そうか。ならチーム名を登録したほうがいいだろうな」
シュオは驚きながら話す。
「チーム名か? 何がいいかな?」
「ディスティニー!」
礼音が聞くとエヴァが元気に即答する。
「……同じ意味かはわからないが、【アルカン】には存在しているチーム名だな」
とシュオが言った。
「そうなんだ」
エヴァはしゅんとして肩を落とす。
「《フラッグオブフェイト》とかは?」
礼音は深く考えず、思いつきを口にする。
「いいわね!」
エヴァは一瞬で元気を取り戻して賛成した。
(どうやら運命が好きらしい)
と礼音は推測する。
運命を感じることが何かあったのだろうか? と彼は思っていた。
「《フラッグオブフェイト》なら登録可能だね」
と言ってシュオは登録手続きをやってくれる。
「それで、今日はどんな予定か聞いてもいいかな?」
彼は手続きをすませたあと、礼音に聞く。
「その前にサーベルフォックスが現れたあとのことを教えてください。それとも日が経ってないので、まだ変化はないですか?」
と礼音は頼む。
大事なのは自分とエヴァの安全を確保することだった。
冒険はリスクが低いからこそ、冒険なのだと彼は思う。
「さすがにまだ変化はないな。離れた位置の都市にも連絡をとって、監視網を築いている最中なんだ」
シュオは微笑みながら教えてくれる。
「そうなんですね」
礼音はちょっと安心した。
多少はなじみができた場所なので、できればもう少し通いたいのである。
「じゃあ俺たちはいつものように探索をしつつ、異変があれば知らせるという方針でもいいですか?」
と礼音は最初にエヴァを見た。
彼女が天使の笑顔でうなずき、チームの方針が決まる。
「助かるよ。また何かあったら持ち帰って知らせてほしい」
それを見てシュオも言った。
「わかりました」
と礼音は答え、エヴァとふたり都市の外に出る。
「さすがレオン、とても頼りにされてるね。みんなあなたを歓迎していたわ!」
とエヴァがうれしそうに言った。
彼女は天真爛漫のようで、しっかり周囲の反応を見ていたらしい。
「トレジャースネークを倒して、サーベルフォックスを倒して持ち帰ったからかな?」
と礼音は分析する。
何の理由もなく信頼を勝ち取れるとは思えない。
「すごいわね! トレジャースネークってたしか【ビッグ・ユニーク】の一体でしょ!」
とエヴァは言う。
「ビッグ・ユニーク?」
礼音が首をひねって詳細をうながす。
「とても珍しくて、とても強いボスモンスターのことよ!」
とエヴァは答える。
「そうだったのか」
道理でみんな驚いていたはずだと礼音はようやく理解できた。
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