オレと彼女と乙女ゲーム
野口マッハ剛(ごう)
乙女ゲーム?
今日も彼女の家の部屋に居るオレ。彼女は今日もオレよりも乙女ゲームとやらで遊んでいる。オレはスマホを見ている。何がそんなに乙女ゲームが面白いのだろうか? オレは彼女のとなりに座る。
「なあ? 何のゲーム?」
「え? 乙女ゲーム」
彼女がそう答えて、オレはゲーム画面を見てみる。うーん? これはイケメンの王子キャラかな? なんかその乙女ゲームからはイケメン声の音声が。それと選択肢が次々と表示されては彼女が選択して「うへへ♡」と何とも言えない声を出すのだ。
「なあ? そんなに面白い?」
「うん。あ! ハア!? 婚約破棄!?」
彼女がデケー声でそう言った。婚約破棄? 何のことだろう? オレは画面を見つめている。乙女ゲームのイケメンの王子キャラが冷たい笑みを浮かべている。いったい、何のことかオレにはさっぱりわからんけど。
彼女がその乙女ゲームを続けること一時間。
「っしゃあ! 婚約破棄をしてきた王子を追放してやったぞ! ざまあw」
彼女は興奮した様子でそう言った。
婚約破棄? 王子を追放?
何のこっちゃ。
続けて彼女は別の乙女ゲームをしている。あれ、オレの存在は? オレよりも乙女ゲーム?
「ああん♡」
急に彼女がそう言って、オレは一瞬焦った。彼女は乙女ゲームをしている。ゲーム画面を覗いてみる。あれ、今度は制服を着たイケメンキャラたちが甘い声でセリフを言っている。ん? そのたびに彼女は「ああん♡」と言っている。正直に言ってちょっとキモい。
「なあ? 何を、ああん、って言っているんだ?」
「え? 胸キュンしているから。ああん♡」
キモい。オレはちょっと不機嫌になる。
「さあて、次はこのゲームをしようっと♡」
「え? オレとのデートは?」
「え? 帰ってもいいけど?」
え? は?
彼女はオレよりも三本目の乙女ゲームをする、デートの約束はどうしたんだよ? なんか、今度は刀のカキンとした音がする。オレはイライラを通り越して呆れてゲーム画面を見てみる。ん? 刀を持ったイケメンキャラが戦っている?
『キミは、オレが守る!』
乙女ゲーム画面からはイケメン声の音声が。
すると。
「私、強い人に弱いのよねー♡」
「え? ここにオレが居るだろ?」
「は?」
えー、彼女が乙女ゲームを終えたのは夕方だった。これから、オレと彼女はデートをしている。とりあえず、街のカフェで軽食をとることになった。うーん。オレの彼女って、これって普通なのか? オレにはわからん。
「ごめんね、私、どうしても、やりたい乙女ゲームがあったの!」
はあ。オレよりも乙女ゲーム?
うーん。
「オレ、今夜は帰さないからな?」
この言葉を聞いた彼女は、ボッと顔を赤くしている。
やれやれ。
乙女ゲーム?
オレにはわからん!
オレと彼女と乙女ゲーム 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo
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