書き直し1②

場面 一


子供達の笑い声が絶えず響く五月の空き地は平和だった。鬼ごっこや隠れんぼ。ゲームに探検だってした。皆楽しかった。でも、この日々は終わりを迎えたのだ。

それは、時の流れもあるかもしれない。

だが、明らかなのは〝呪い〟というバカらしいモノが、俺らの絆を壊して行ったこと。

キズついた絆のキズを呪いは楽しみながら抉るように、壊した。


––八年が経過し十四歳になった彼等は。


俺は今日も席に着く。

笑い声が響く、二年四組の教室。

クラス分けから一ヶ月が経ち、休み時間の教室には既に四、五人のグループがいくつかあった。

その内一つのグループが彼女の机を取り囲む。

有村をはじめとする、クラスの中心的存在の女子グループである。

有村が机に腰かける。そして、

「七詩乃さん、数学のノート見せてくれない? 私ぃ、友達とお喋りしててぇ、ノート取り忘れちゃったのー!」

てへ、と大袈裟にウインクしてみせた有村に、彼女はノートを差し出した。

「..はい」

「ありがとぉ~!」

しばらくキャピキャピしていた有村が、サッとあたりを見渡した。数人が目を逸らす。まるでこれから行われることが分かっているかのように。

有村は次の瞬間冷淡な笑みを浮かべ、彼女のノートを一切の躊躇いなく破った。

にたぁ。と、最初は押し殺すような笑いだったが、やがてそれは大きな笑い声に変わった。

有村は涙目で取り巻きを見た。

「ごめ〜ん七詩乃さん、手が滑っちゃった〜」

その有村を軽くはたいた棚橋は、「ねぇ~ほんと傑作なんだけど寧々ったら!」

同じく汚い笑みを浮かべて大きな声で笑う。

「まじ、うける〜」

「寧々さいこ〜」

「掃除の仕事が増えたよ〜良かったね七詩乃!」

周りの取り巻きが囃し立てた。


いつからこうなったんだ。


「朱音...」

泣きそうな目で翠がこちらを見る。

蒼も苦しそうに彼女を見る。

彼女は、きお は下を向き。何かを睨んでいた。

その顔は何かが〝乗り移った〟様だった。

「行こう」

二人を無理矢理外に出す。とても見ていたい様なモノではない。

いつも仲良く遊び「仲良し四人組」と呼ばれたあの幼馴染み。なのに誰も、何も出来ない。

悔しいがどうしようも無い。

きおは自分以外を巻き込むのを嫌がった。

俺らは廊下を歩き出した。


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