高気圧はヴィーナスたちの交差点

sigh

5月

 5月上旬、ゴールデンウィークを過ぎたあたり、天気予報が注意喚起を促す対象物は、花粉や黄砂からあるものに切り替わる。


「今日は初夏らしい汗ばむ陽気となりそうです!皆さん、紫外線にはくれぐれもご注意を!」


 中継現場できらきらとした朝日を浴びて、ふんわりとウェーブのかかった髪を揺らし、ベビーピンクのシフォンブラウスを着た可愛らしいキャスターは、画面越しにそう言って笑いかけていた。


「遅い…」


 キャスターに聞こえるわけでもないが、口からは低い呟きが漏れ出ていた。


 まるでたった今、放射が強まったかのように紫外線の話をしている。

 それにそんなガードの甘い七分袖のブラウスで、さんさんと日の光を浴びながらふんわりと注意されても説得力はまるでない。


 今年こそ、徹底的に腰を据えて向き合おうと腹に決めたことがあった。

 そしてこの戦いはおそらく来年以降もずっと続く、続いていくであろうもの。

 自分のモチベーションが鍵になる部分も多分に含んだこの夏の戦いは、きっと今後の役にも立つはずと思いつつ。


 私と、夏の日差しとの攻防戦をここに記録する。




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