第6話 デートのお誘い?①
高校に入って初の連休。
世間一般に言うゴールデンウイークが訪れた。
今日と明日は部活だけどその後は3連休だ。
成海と遊びに行く約束もしているけど後は何しようかな。
去年は部活と受験勉強で忙しかったし遊びまくるかな~
でも、5月は中間試験や学力テストもあるし、そうも言ってたらないかな。
と色々考えながら、部活終わりの帰り道を成海と歩いていると、ついさっきまで部活や学校の話で盛り上がっていた成海が急に真面目な顔をして話しかけてきた。
「睦月」
「うん?なんだ急に真面目な顔して」
「連休だけどさ、姉ちゃん暇みたいだぞ」
「え?」
春香姉が暇?何の話だ?
「聞いてねえか?明後日って弥生姉や菜月姉と遊びに出掛ける予定だったらしいんだけど弥生姉達部活になっちゃったらしくてな」
「そうなんだ」
そういえば昨日弥生姉が"連休がぁ~"とか愚痴ってたな。
あれってそう言うことだったんだ。
でも、だからってどうしろって言うんだ?
「そうなんだじゃねぇよ。姉ちゃんをデートに誘うチャンスだろ!」
「春香姉とデ デート?」
「俺だって姉ちゃんのスケジュール全部抑えてるわけじゃないけど、明後日なら確実に空いてる。チャンスだろ?」
「お おぅ」
確かにチャンスかもだけど・・・いきなりデートに誘うとかハードル高いよ成海。
自慢じゃないけど僕は女の子とデートとかしたことないぞ。
お洒落な店とかも知らないしさ。
そもそも誘っても来てくれるかもわからないし。
「何情けない顔してんだよ。。。」
「そういうけどさ、僕は成海と違って彼女とか居たこと無いし、デートもしたこと無いんだぞ。いきなり明後日とか言われても」
「はぁ・・・睦月って結構鈍感なところあるからなぁ~
弥生姉が前に言ってたぜ。睦月は結構モテるけど春香一筋だからチャンスをふいにしてるって」
「弥生姉が?」
そうなの?僕って結構モテるの?
確かに中学のときもよく女子に声は掛けられたけど・・・あれってそういう事?
「気付けよ。。。そもそも睦月って横川中時代バスケ部でキャプテンもやってたんだろ?成績も良かったみたいだし、見た目も・・・多分悪くないし、性格も・・・多分良い。モテない要素の方が少ないだろ?」
「見た目と性格のところの間が気なったけど・・・確かにそっか」
「そいういこと。だからもう少し自信持てよ。姉ちゃんだって睦月が誘ってやれば喜ぶからさ」
そう言いながら成海は僕に封筒を差し出した。
なんだ?
「何だよそれ?」
「開けてみ」
封筒を開けると中には近隣にある遊園地リバーランドのチケットが入っていた。
それも2枚。
「え?これって」
「姉ちゃん誘って行って来いよ」
「いや、でもチケット代結構するだろ?」
「気にすんなよ」
「いやいや、気にするって」
夏は2人でバイトしようって話してたけど、こいつだってそんなに小遣い貰ってるわけじゃないはずだし、リバーランドのチケット2枚は結構大きいはずだ。
「ぶっちゃけると、親父に貰ったんだよ麗美と行ってきたらって」
「開成おじさんに?」
「そ。ほらうちの両親って出版社に勤めてるだろ?取材に行ったときに貰ったらしいんだよ。だからお金はかかってないから気にすんな」
「で、でも小山内さんと行くつもりだったんじゃ・・・」
「まぁそうなんだけどさ・・・連休は家族で旅行に行くらしくて。
それにそのチケットって有効期限が5月中なんだよ。だから俺達の事は気にせず、姉ちゃんと楽しんで来てくれよ」
「成海・・・ありがとな。そう言うことなら喜んで使わせてもらうよ」
「おぅ!その代わり次のカラオケは奢りな」
「お おぅ!」
ん?勢いで返事しちゃったけど開成おじさんに貰ったんなら成海はお金出してないんじゃ??
「じゃ、明日だな」
「明日?」
「明日も部活あるだろ?明日は午前中で終わりだし、ちゃんとデートの約束取り付けないとな」
「えっ!!」
「いや、驚くほどじゃないだろ。いきなり告白しろとは言わないからさ、"連休だし勉強の息抜きにどうですか?"くらいで声掛けりゃいいんだよ」
「お おぅ・・・」
「心配だなぁ。。。まぁ練習終わりに俺が理由つけて姉ちゃんを呼び出すからさ後は上手くやれよ♪」
「・・・お おぅ」
そうだよな。
成海の言う通りだ。いきなり”好きです!”とか告白しなくてもまずはデートに誘うだけでいいんだよな。
うん。それなら何とか出来るか?
いや、折角成海がお膳立てしてくれたんだし。
それにいつかは告白をとか考えてるんだそれくらいできなくちゃな。
その日の夜は、どうやって春香姉に声を掛けるか考え込んでちっとも眠れなかった。。。
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翌日。
色々考えこみすぎて寝不足の中、何とか遅刻しない程度の時間で学校に向かった。そして、着替えて体育館に入ると既に数名の部員が自主練を開始していた。
と、その輪の中に居た春香姉が僕をみて歩み寄ってきた。
「お おはよう睦月君」
「おはよう春香姉?どうかしたの?」
普通に挨拶しているだけなんだけど、何故かキョロキョロと周り(特に一緒に練習していた女子部員)を気にしながら僕に話しかけている。
「睦月君。あ、あのさ・・・練習終わったらちょっとだけ時間良いかな?」
「え?春香姉?うん。大丈夫だけど」
「ほ ほんと!!じゃさ、部活棟の裏庭にベンチあるでしょ?終わったら待っててくれる?」
「あ、うん了解」
「じゃ じゃあまた後でね!」
春香姉、少し顔が赤かったけどどうかしたのかな?
春香姉は僕に練習後の約束を取り付けると足早に輪の中へと戻っていった。
何やら他の女子部員に囲まれてるけど・・・何だ?
でも、春香姉から声掛けてもらうとか成海のおかげだな。
ここまでした貰ったんだし僕も頑張らないとな。
「よぉ睦月。今日も頑張ろうな!」
「おぅ! あ、成海。春香姉の件、ありがとうな」
「え?」
「鶴間、渋沢、アップ始めるぞ!!」
「はい!いくぞ成海」
「お おぅ?」
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