先輩の事が好きになったのかもしれません

ひろきち

第1話 新学期①

4月。

寒い冬も終わり暖かな春が来た。

家の窓の外には穏やかに流れる川野辺川とその土手に咲く沢山の桜が春を演出している。


「寝癖とか・・・大丈夫だよな。うん"よし!"」


僕は鏡を見ながら髪型をセットし自身の身だしなみのチェックをしていた。

今日から高校生。

ネタにすることは出来るかもしれないけど初日から寝癖で登校とか無いからな。

それに・・・高校には憧れのあの人が居る。

と自分自身に気合を入れていると


「な~にが"よし"よ。いっちょ前に色気付いちゃて♪」

「な 五月姉!それに弥生姉も2人とも何してるんだよそんなとこで」


洗面所のドアの陰から2人の姉が僕をからかってきた。

5つ上で大学に通っている五月姉と2つ上で僕の高校の先輩になる弥生姉だ。


「あんたがカッコつけてるから面白くって眺めてたのよ」

「カ カッコとかつけてないし!」


いや、別にそんなつもりじゃないよ。

ただ、寝癖直してただけだしさ。


「どうせ菜月と春香にカッコいいとこ見せようとしてるんでしょ〜

 あの2人可愛いもんね~」

「春香姉達は・・・関係ないし」


そ そうさ2人は関係ないよ。

普通に身だしなみをだね。。。


「へぇ〜そうなんだ。2人とも睦月が入学してくるって楽しみにしてたみたいだけどなぁ〜」

「え!?ほ ほんと春香姉が!」

「・・・睦月喜びすぎ」

「菜月ちゃんはおまけか。。。ホントわかりやすい子だねぇ〜睦月は」


春香姉がってなにそれ。嬉しすぎるんだけど!!

ん?わかりやすい?僕ってそんなに顔に出やすい?


あ、菜月姉と春香姉ってのは、弥生姉の同級生で僕が入学する高校の3年生。

親同士が仲が良いこともあり小さいころからよく一緒に遊んでもらったりしていた。

ちなみに菜月姉は家も近所で弥生姉とは幼稚園から一緒。

春香姉だけ隣町に住んでたから学校は違かったんだよね。


でも、今は3人ともお母さんの母校でもある川野辺高校に通っている(父さんは男子校だったんだよね)

そして、今日からは僕もその川野辺高校の1年生だ。

結構レベルの高い学校だから勉強頑張ったんだよな。

でもこれでやっと春香姉と同じ学校に通えるんだ(まぁ学年は違うけど)


「全く。。。ほらいつまで鏡の前にいるのよ。初日から遅刻しちゃうわよ」

「え!?もうそんな時間」

「私はまだ大丈夫だけど1年生は少し早く行くんじゃなかったっけ?」

「そ そうだっけ?」

「もぉ頼りないなぁ~」


そう言われるとそうだったような気もしてきた。

初日から遅刻とか駄目過ぎるだろ。


僕が少し焦っていると聞き覚えのある元気のいい声が外から聞こえてきた。


「や〜よ〜い〜学校行くよ〜」

「あ、菜月が来た。ほら睦月早く支度して!学校行くよ!!」

「う うん」

「2人ともいってらっしゃ〜い。いい天気だし私はもうひと眠りするわ。。。」

「・・・・おやすみ五月姉」


川野辺大学に通う五月姉はまだ春休みという事でここ最近は家でゲームをしてるか寝てるかとダラダラしていることが多い。

そういえば今日も髪の毛はボサボサだな。。。

あれで川野辺高校に通っていた頃は生徒会長で男子からモテモテだったっていうんだから・・・本当どれだけ外面がいいのやら。

今の姿を愛しの彼氏さんに見せてやりたいよ。


「ん?睦月なんか言った?」

「ナ ナニモイッテナイヨ」

「ならいいけど・・・ほら早く行きなさい」


変なところで感が鋭いんだよな。

・・・姉ちゃん怒らせると怖いし。

そんなことを思いながら玄関のドアを開けると菜月姉が元気よく声をかけてきた。


「おっはよ〜う弥生・・・って睦月?

 そっか今日から睦月も一緒か♪」

「よろしくお願いします。有坂先輩」

「弥生〜。睦月が他人行儀で私さみしいよ〜」


そう言って泣きながら弥生姉に抱き着く菜月姉。

いや、完全にウソ泣きだろ。


「あぁ〜ひどいな睦月は。こんな可愛い女子を泣かせるなんて。

 お姉ちゃんこんな酷い子に育てた覚えないよ!」


いや・・・弥生姉に育てられたわけじゃないし・・・

それに可愛いって。


「今まで通りに呼んであげなよ」

「・・・わかったよ。菜月先輩。これでいいんでしょ」

「うぅ〜小さい頃みたいに菜月ちゃんって呼んでほしいな」


いつの話だよそれ。

そりゃ小学生の頃は菜月ちゃんって呼んでたかもだけどさ。


「ふふ 菜月それくらいで許してあげなよ。あんまり馴れ馴れしくしてるとあんたのファンの子に虐められちゃうかもしれないしさ」


怖!何それ!?入学早々虐められるのとか嫌だよ。

それに菜月姉ってそんなに人気あるの?

確かに弥生姉とダブルス(テニス)で有名だし、中学でも人気はあったけど。

でも、そうだよな客観的に見れば・・・菜月姉も弥生姉も美少女の部類だよな。

しゃべらなければだけど・・・。


「ほら!あなた達いつまで玄関でおしゃべりしてるの遅刻しちゃうわよ!」


母さん!

そうだ。時間ヤバかったんだっけ。


「あ、春姫さん!おはようございます。今日もお綺麗ですね♪

 お母さんが週末のランチの件で後で電話するって言ってましたよ」

「あら。菜月ちゃんありがとうね。菜月ちゃんこそ今日も可愛いわよ♪

 あ、ついででいいけど睦月の事よろしくね」

「はい!任せてください!」


・・・僕との扱いが随分違う気が。


******************

半ば思い付きで書き始めて見ましたが不定期でで少し書く予定です

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る