包帯と思い出と死 (7) (300字小説)
どこにいくかは決めていない。とりあえず病院を出たかった。僕を生かそうとするところにいる必要はない。
街は夜になっていた。ネオンが眩しかった。おぼつかない足取りで歩く。周りの人が僕をジロジロと見てきた。……なぜだ? 僕は近くの公衆トイレに入って鏡を見てみた。頭に包帯が巻かれていた。……ははっ。これのせいか。僕は包帯をするすると取った。包帯のせいで髪の毛に変な癖がついていた。……まぁいい。僕は死ぬのだから。
近くのゴミ箱に包帯を捨て、僕は歩き出した。自分の住むアパートに向かって。
床に置かれた段ボール。彼女と選んだ家具の数々。僕はそれらを見つめた後、ベランダの窓を開けた。さぁ、今度こそ。
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