第2話 『最強の可能性』
「なんか大事な時なのに、こんなとこでのんびりしてて大丈夫?」
「『女神』が俺にやってきてることが、そういえばソラの力と似てるなと思ったから会いに来ただけだ」
「んまぁ……こっちとしてはパフェご馳走してもらえてるから何でも良いんだけど」
「これでも帝国No.1迷宮都市の主だからな。それなりにお金は持ってるぞ」
「凄い凄い」
メモ帳とペンを召喚し、敵のスキルの特徴を書いていけば習得して自分なりに敵のスキルを使えてしまう謎の力『
俺が最強勇者以外の人間で、この世界で1番強くて厄介だと思っているスキルだ。
本人が多くのことをメモしていけば行くだけ、『
『罪の牢獄』に頻繁に修行しに来て、よく俺に会うようになってから生意気な口を利くようになったが、そんなことはどうでもよくなるくらい『
「完全に模倣するんじゃなくて、アレンジしてるところが『女神』と似てるんだよなぁ」
「もしかしたらアタシの力が、その『女神』様とやらの力から派生したモノなのかもしんないね」
「鋭いな。さすが『大罪』の力を模倣に成功してきてるだけあるな」
「絶対無理だと思ったんだけどね♪ 修行し続けて強くなった感じ」
「珍しくシャンカラやイデアが驚いてたな。まさかこんな短時間で『大罪』を模倣されるなんて思っても無かったみたいだ」
「んまぁ……言うて模倣されても問題無さそうだったのがムカつくけど」
ソラが勇者になったほうが勇者側は平和だったのかもしれない。
戦えば戦うほど明確に強くなれる能力を持ち、あまりにも幅広く色々出来すぎてしまうため困ることが少なそうだ。
冒険者として人間界の役に立ってはいるが、今のソラは『罪の牢獄』で修行することに夢中なため、ここまで強くなったことが知られてないのも幸いだな。少しは模倣してカスタマイズしてくる『女神』の対策ができる。
『原罪』は模倣しても応用幅が無さそうなので少しは安心できるが、『大罪』の力はスキルも多いし、応用幅が無限大なので身近に対策できる人間がいたのは『女神』からしたら誤算なのだろうか? それともこれも狙い通りなのだろうか?
「結局コピーってのも天井が知れてる、自分だけの最強の強みが欲しいところだなって言われちゃったけどねぇ~鬼さんに」
「阿修羅がそう言ったってことは、その自分だけの最強の強みとやらを手に入れれば、かなりの強者になれるってことだろう」
「言い回し面倒くさすぎ!」
「……たぶんだけどな」
「習得してアレンジするのがアタシの強みなんだけどなぁ~」
「どんな能力を習得されてるか知られてた場合、確かに詰まされる可能性あるからな」
「『女神』さんはその強みがあるってやつ?」
「何個もありそうで困ってるんだよ」
「良いなぁ~……アタシも欲しいんだけど」
アークの甘味処でするような話では決してないが、こんくらい気楽に話をするってのも良いなって思える。
『
俺が『女神』と1vs1になった場合、基本的には『原罪』と『美徳』を軸に戦うことになるんだが、どう致命傷になりうる火力を叩き込むのかが鍵になってくる。
誰かの『原罪』を使いながら『美徳』の力を自在に使えるほど余裕も器用さも無い、ウチの面々みたいに『原罪』を発動しながら元々ある火力スキルを叩き込むスタイルも、俺には少し難しくはある。
「純粋な火力不足に悩まされるなんてな」
「配下見てても、火力ってよりも何か法則捻じ曲げてる系だもんねぇ、よくわかんないもん」
「自分の好きなように塗り替えちゃうのが基本だからな。敵も味方も関係無く、自分が好きなようにやれる力が『大罪』みたいなもんさ」
「そんな火力に悩む必要無くない? 全部試してダメだったら考えればいいじゃん」
「そこで考えてたら終わりだろ」
確かに悩み過ぎも良くないのは理解できるが、考えておくべきことは考えておかないと、いざって時にダメだった場合、取り返しがつかなくなるのでさすがに敵の倒し方くらいは考えておきたい。
自分のフィニッシュブローは何と考えて立ち回るべきなのか、どのスキルを最終的に叩き込むことを前提に組み立てるのかを何通りか用意しておきたい。
今までの『女神』陣営と戦ってきた感じ、確実に俺は『女神』と1vs1になるように隔離されるだろうから、出来れば隔離された瞬間から仕掛けられるようなスピード感のある立ち回りをしたい。
『女神』が俺を苦しませようと、じっくりコトコトやってくる前にガツガツ攻めて終わらせることが出来るのが理想な展開ではある。
「そんな上手く行くわけないか」
「大魔王とか言う癖に自信なさ過ぎじゃない?」
「俺が強くてここまで勝ち上がってきたわけじゃないからな」
「自慢の配下たちの力使えるんだから、やってることは同じじゃん」
「まぁ……そう言われると確かにそうだけど、ウチの面々は『大罪』の力以外も殺傷能力が整ってる能力してるからな」
「ふ~ん」
「まぁ…無いモノ強請りしたところでだし、あるモノでどう殺しきるかだな」
「……というか噂の新人ちゃんと模擬戦させてほしかった!」
「ウチの秘蔵っ子だからダメだ。残念だけど諦めてくれ、俺たち以外に知る奴がいると困るからさ」
「ケチッ」
生意気な小娘だが、話をしている内に少しだけ気が楽になった気がする。
とりあえず出来ることで最善の立ち回りを組み立てて、万全の状態で『女神』様のもとへと駆け付けるとさせていただきますかね。
なんだか今日は気持ちよく寝れそうな気がする!
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