第2話 刻み込む『恐怖』
――聖国 聖都周辺
『大罪』と『七元徳』の魔王戦争まで残り2日。
魔王界は歴史上でも例に少ないとされている『
魔王戦争をする本人たちは戦争当日まで、何かしらの駆け引きを常々行っており、戦力を削る目的であったり、少しでも新たな情報を引き出そうとしたりと大忙しである。
聖都近くにダンジョンを構える『七元徳』は、人間の目お構いなしに、聖都周辺に大量の『
EXランクである天使に人間たちが敵うはずもなく、聖国の冒険者たちは怯え逃げる日々。
そんな聖都近くの荒野に3匹の魔物が堂々と歩いていた。
「すんごい数の気配だね。マスター来たら羨ましがるのかな?」
「数が多いだけの脳死軍団は意味が無いと妾たちに言っておっただろう? 主の話では、ただ警備で配置されているだけの勿体ないEXランクだそうじゃ」
「転移してきたばかりなのに、僕たちもう気付かれちゃったね」
「妾は妾の仕事をしてくるからのぉ。気張るんじゃぞハク」
「デザイアとニャルも失敗しないようにね」
聖都周辺の荒野に転移してきたのは、『罪の牢獄』が誇る最強Lv1000四天王のハク、そしてデザイア&ニャルラトホテプ。
デザイアたちは違う場所でソウイチから指示された悪巧みがあるため、すぐに転移して消えていき、残ったハクは大量に近づいてくる天使たちを感じながら、歩みを止めずに聖都の方面へと進んでいく。
「『大罪』の魔物を発見ッ! 近づくのは危険だ! 囲め!」
「僕が1番怖いって教えてあげないとね♪」
『七元徳』の天使たちは情報共有力が高く、戦場でも各々の判断で上手く動く印象があると見たソウイチによる、天使たちに一生忘れられないような惨劇を見せつけること。
警戒度の高いダンジョン近くに単騎でハクを送り込み、遠慮なしに大暴れしてもらい、自我の強い天使たちに意識づける作戦。
ハクは大量の『
「何体いても同じだよ……僕の前じゃ皆ゴミなんだから」
――ゴゴゴゴゴゴゴッ! ブチブチブチッ!
「グギャアァァァァァァ!」
「な、なんだこれはァァァァァァ!?」
『
「いらないよ……『罪の牢獄』にいる皆以外は存在しなくていいんだから」
ハクの身体から溢れ出るドス黒い色をした邪気が、凄まじい速さで辺りを覆い尽くしていく。
目の前にいるハクへの恐怖でまったく動けない
荒野を覆うドス黒い邪気に真紅の魔力が混ざり合い、次々と集まってくる天使たちを地獄へと墜とす異様な地が完成する。
「『
ハクが司る『
結界では無く、ハクの魔力に触れている者が強制的に影響を受けることになる『
その効力は単純であり、ハクのアビリティ影響範囲の拡大と、この特殊空間発動時にしか使用できないスキルが使用可能になり、スキルを受けた相手に極悪な効果を与えることができる邪気を広げるものである。
ハクは自身の太刀に闘気を纏わせ、空中で怯え震える天使の大群にむけ、雑に刃を振るう。
「『
――グシャッ!
ハクの雑に振るった太刀から放たれた神速の斬撃が天使を真っ二つに斬り裂く。
ただでさえLv差とステータス差があることで『
最初の一体が消し飛んだ瞬間、近くにいた
「全部削り切って、マスターに褒めてもらわなきゃ♪」
連鎖して消し飛んでいく天使たちを見ながらニコニコと笑うハク。
『
斬撃の触れた者と同じ種族が近くにいた場合、連鎖的に引き裂いていく悪夢の技である『
広がるように消し飛んでいく天使たち、1体の天使が消えるごとに『
召喚獣を殺したのならば召喚者の魔力を削り、今回のようなコアから呼び出された魔物を殺した場合は、なんとコアのDEを削り取ってしまうのだ。
「全部消して……2度僕たちの前に出てこれないようにしてあげる」
コアの持ち主である魔王がDEの急速な減りに気付き、この区域から脱出指示を出さなければ、永遠とハクに消されていく魔王殺しの戦闘方法。
さすがに数千体の天使を殺しても、『七元徳』のDEを枯らすことができないが、天使たちに悪夢を、そして魔王に嫌な印象を刻み込むには十分すぎる力である。
次々と消し飛んでいく天使たち、恐怖に慄いて逃げ惑うが、どれだけ離れようとしても凄まじい速度で連鎖していく『
――ギャオォォォォォォォッ!!
「煩いな……」
『
そんな『聖白竜』とともに大量の
天から降り注ぐ、聖白竜の光のブレスが迫りくるのを感じながら、ハクは竜の咆哮によるイライラを力に変え、再び太刀に闘気を纏わせる。
「『
――ブシャッ!!
誰も視認できぬ刹那の三振り。
瘴気となっている『
『
一度解除してしまうと15分間は使用不可になる『
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