第20話 これは単なる『始まり』


 ルーキー明けで魔王『大罪の魔王ソウイチ』が、魔王界でも有名な上級魔王『異教悪魔の魔王バフォメット』に勝利したという事実は、かつてないほど魔王界を震撼させた。


 上級魔王という存在が大したことがないという風潮は瞬く間に広まり、魔王戦争をそこまでしてきていない魔王は実力が無いのを上手く隠しているというようなレッテルを貼られてしまうような流れができてしまっているほどだ。


 それ以上に魔王界を激震させたのは『EXランク』の魔物が存在していることだ。今まで明らかにSSランクを上回る力を持った魔物は何度も確認されてきたが、誰としてEXランクの魔物という存在を言及した者がいなかったが、今回ソウイチとバフォメット、そしてパズズの3者が口にしたことで明らかになった新事実。

 

 そしてソウイチの配下として出てきていた魔物全てがSSランクでは考えられないような力を有していたことが、さらにEXランク魔物の存在を身近にし、どうにかすればルーキーでも手に入るという噂が魔王界で溢れかえる事態になってしまっている。

 『魔王八獄傑パンデモニウム』ですら難なく葬ることができる力を得られる方法を、多くの魔王が血眼になって探すという時代へと…。


 とにかく配合や魔名を手に入れるため……ただただ己のために争う魔王の時代の幕が開けた。









――『罪の牢獄』 居住区 コアルーム



 『異教悪魔』との魔王戦争が無事に終了し、レーラズとアマツのおかげでカノンたちのほうも無事終わったとの報告を受けて、とりあえず落ち着くためにコアルームでモニターを見ながら休んでいる。


 『異教悪魔』と『風蝗悪魔』とその他いくつかの魔名を手に入れ、『異教悪魔』と隣に控えていたEXランク魔物をハクが上手くやってくれたおかげで、メルが取り込むことができ、面白いことがいくつも分かった。



「今までは上手く泳がせられていたってことだな。だが、こっからはそうはいかない……と思っておきたい」



 今まで俺に降りかかってきていた災難の黒幕の存在も『異教悪魔』のおかげで判明した。

 すぐに挑めるような相手じゃないし、他にやるべきことは山積みだから、すぐに動けるわけじゃないが、常に警戒をしておかなくちゃいけない。

 

 

「他のEXランク魔物のデータもとれた……『枢要悪の祭典クライム・アルマ』がおかしいくらいに強いのが再認識できたけど、一番上の魔王たちはヤバいんだろうな」



 上級魔王と呼ばれる『異教悪魔』の配下ですらLv700台だった。Lv上限も830だったので、フェンリルとアマツは最高にラッキーだったか、配合に使った素材が良かったということになる。

 他のEXランク魔物に関する情報は『異教悪魔』は持っていなかったので残念だ。『異教悪魔』もクラウスさんの言葉を鵜呑みにしかけていた1人だったみたいだからな。


 全ての記憶をメルが得られたってことじゃないけど、いくつもの情報を得られることができすぎて、逆に頭が痛くなってしまうほどなので、数日かけて今後の予定をしっかり練らなくちゃいけないな。



「『大罪』の魔名があれば簡単にEXランク魔物が作れるって噂が広まっているらしいからな……今まで以上に守りを固めなくちゃな……」



 魔王戦争で大暴れした分、さすがに無計画で挑んで来る奴はいないだろうけど、同盟を組んで隙を見て仕掛けてくるっていう事案は今後確実に増えるはずだ。

 アイシャとピケルさんにも、どこかでEX魔物について説明しておいたほうがいいんだろうか?



「久々に見たこと無い実績報酬があるな…」



 上級魔王を倒したことで何かしらあるかなと思ったので確認してみると見慣れない報酬があったので確認してみる。



1.SSランク魔王に魔王戦争で勝利した記念 【『大罪』の欠片1/6】

2.『魔王八獄傑パンデモニウム』に勝利した記念 【『大罪』の欠片2/6】

3.女神に認識された記念 【ダンジョン経験値100000ポイント】

4.ルーキー期間終了記念 【魔物1体のLv限界値上昇】

5.欠片集めの旅開始記念 【コアシステムアンロック】



 実績報酬を初めて貰ったとき並みに意味不明なラインナップだ。

 とりあえず……すぐに解決できそうなことから解決していこう。まずはLvの上限値を上げることから考えるか……考えると言っても1人しかいないな。


 とりあえずコアを使ってポラールを呼んでみる。

 

 さすがにコアルームの上の階なだけあってすぐに来てくれる。

 呼び出されたわけがイマイチ理解できないようで、少し困惑気味な感じで近づいてくる。



「どうなされましたか?」


「さて……どうなることやら」



 画面にポラールのステータスが表示される。

 Lv999の部分をタッチして、先ほど手に入ったアイテムを使用してみる。固定Lvも上がるんだろうか?


 するとポラールのLvが1000(固定)へと変化した。なんとも予想通りな展開だ。



「ご主人様……どうやったかは分かりませんが、さらなる高みへと連れてきてくださったようで…ありがとうございます」


「やっぱポラールが1番Lv高い組にいないと落ち着かないからな。相談も無しにしたのは悪いことだと思うけど、少し立て込んでるんだ……許してくれ」



 【サタナエル】 天覇魔神族 ランクEX Lv1000 固定

        真名 ポラール 使用DE?

 ステータス 体力 EX+6666  物理攻 EX+6666  物理防 EX+6666

       魔力 EX+6666  敏捷 EX+6666  幸運 EX+6666


アビリティ ・『至高天・堕天奈落輪廻パラダイス・ロスト』 EX

  ・近くにいる全ての者に特殊スキル使用可能になる。自在に好きな固有環境を創り出せる。

  ・自身の全ステータスが増大する。

  ・全ての結界魔法を打ち消し、使用不可にする。

  ・特殊スキル使用中、自身の全ての耐性が上限になる。

  ・自身のスキルに対して防御アビリティとスキルを絶対に無効化する。

  ・この能力発動は絶対に打ち消されない。


      ・『魔王の智慧サタン・ウィズダム』 EX

  ・闇魔法系統の威力と効果が増大。消費魔力激減。

  ・自身の魔力ステータスを4倍にする。

  ・近くにいる魔族・悪魔・魔王・魔人・魔神・堕天使の数だけ全ステータスが上昇する。

  ・自身の体力が1/3以下になった時、全ステータスが10倍になる。


      ・天覇魔神の頂点 EX

  ・自身に敵対する者を認知したとき全能力が3倍になる。

  ・自身の能力を下げるアビリティとスキルを全て無効化する。

  ・1分ごとに自身の体力が20%ずつ回復していく。

  ・SSランク以下の生命から受ける攻撃が1/10になる。


      ・『終焉を告げる福音ラグナロク・ゴスペル』 EX

 ・自身に影響を与える複数のアビリティ・又はスキルの影響をランダムに1つに絞る。

 ・1度に10以上のアビリティが自身に向けられた際、自身周囲半径5㎞に鐘の音を響かせる。鐘の音を聞いた自身と主人以外の鐘の音を聞いた者は激しい『怒り』を覚えた瞬間に身体と魂が崩壊する。

 ・自身の魔力と幸運のステータスを1ランクアップさせる。

 ・自身と主人以外の魔力と幸運のステータスを1ランクダウンさせる。

 ・自身のLv未満の対象の全ての耐性を2ランクダウンさせる。


      ・『激昂し塵へと返すアポカリプス・サタン黙示録・ジ・イーラ』 EX

 ・自身と敵対する者を視認している限り、自身の攻撃ステータスが1分ごとに1.2倍になる。

 ・自身に悪影響を与えるアビリティの影響を無効化し相手に反転する。

 ・自身の攻撃ダメージが減少された時、その減少させた能力を自身が死亡するまで発動不可にさせる。

 ・スキルの効果範囲が1.5倍になる。


スキル  ・『憤怒ラース』 EX

 ・全ての『憤怒ラース』の能力を使用できる。


     ・『善悪二天論ツヨサコソセイギ

 ・自身よりもLvが低い対象の能力を見通すスキル。


     ・『黒焔覇王拳ベリアルブレイク』 EX

 ・全ての武神スキルが使用可能になり、追加効果と技が使用可能になる。


     ・極闇魔導 EX

 ・全ての闇魔法・闇魔導・極闇魔導が使用できる。


     ・時空間魔導 EX

 ・全ての時空間魔法・魔導が使用できる。


     ・『絶望的デッド・エン六法則ド・シックス』 EX

 ・自身のスキル技を6種類以上受けている相手を絶対死亡させる拳を放てる。


     ・『真覇渇望・原罪アヴェスター・を抱け怒りの理までディエスイーラ

 ・『至高天・堕天奈落輪廻パラダイス・ロスト』使用終了後に使用可能になる。『絶対』という言葉を捻じ曲げ、世界に理を展開することができる。



 あぁ……頭が爆発しそうだよ…。


 ポラールがかなり強くなったのは嬉しいけど、もしかしたら、今後はこの強さをもった相手とやり合うことを常に考えなきゃいけないってことに…。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る