異世界行っても引きこもる
神森倫
第1章 異世界転移
第1話 空腹
しばらく食べていない。いつも母が食事を作って、ドアの外に置いておいてくれるのだが、食事もないし、大声で呼んだが、今日も母はいない。
ちなみに俺が好きなのはハンバーグとか、カレーライス、お好み焼きに、あとはお寿司とかかな。母は俺の好みを知っていて何も言わなくてもその日に俺が食べたいと思ったものを作ってくれる。
「クソババア」
と怒鳴ってみたが声に力もなくもちろん誰も答えてくれない。最後に食べたのは何だったか。たしか俺の一番好きなトンカツだった。いつもより量が多く、なんとなく良い肉を使っていて、ちょっと贅沢だなと思った。あれは一週間前だっただろうか。食べ終わったあと出しておいた食器はもうないから、その夜は母はまだ家にいたのだ。
その次の朝、いつもの時間に食事がおいてなく、水だけ飲んでゲームをしていた。部屋から出て冷蔵庫を見てみたが、空っぽだった。いつもなら俺の好きなジュース類が何種類かおいてあるはずなのだが。仕方なくクッキーかお菓子でもないかと探してみるが何もない。それじゃカップ麺でいいかと探してみたが全く空っぽ。アイスクリームがないかと冷凍庫を見たが、一切何も入っていない。この家の中には食べられるものは何もない。
かわりに台所に10万円置いてあった。おそらく母が、引きこもっている俺を、外に引き出すためにこんな芝居めいたことをしたのだろう。無性に腹が立って、全くやる気が無くなった。水道だけは出るので水を飲んで、ゲームをして、ネットできれいな女のグラビア見て、あとは寝ている。
2,3日は空腹だったが、そのうち空腹は感じなくなった。まさか今の時代、飢え死にはしないだろう。それに母もそのうち後悔して帰ってくはずだから、その時自分で買い物行って、元気にしていたとなったら、母のことだから、何とか自立させて学校へ行かそうとするに違いない。それだけは絶対嫌だ。
母が帰ってきて発見するのは愛する息子の飢え死に寸前の姿でなければならない。そうなったら母は2度とこんな,、俺を見捨てるようなことは絶対しないと心に誓うのだ。多分。
俺は大声で叫ぶ。
「母さんの馬鹿野郎!」
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