学生編:3年生になりました


有り難い事にリクエストを頂いたので、エイリーン達の貴族学院3年生のお話を書きました(*'▽')

後何話か、3年生のお話を書く予定です。

よろしくお願いしますm(__)m




♢♢♢

魔王討伐やパレード参加と、驚くほど色々な事が起こった2年の学年末休み。去年の学年末休みは、シュメリー王国に行っていたのよね。もう1年経つのか。早いものだわ。




そして今日は、新学期だ。そう、私は無事3年生になった!




「エイリーン、エイドリアンに変な虫が付かない様、しっかり見張っていてね」




朝から何度もメルシアお姉さまからお願いされた。どうやらエイドリアンが物凄くモテるという事を知ったメルシアお姉さまは、心配でたまらないようだ。




「大丈夫よ、エイドリアンはメルシアお姉さま一筋だし。そもそも、婚約者のいる男性に手を出す様な令嬢は居ないわ」




多分ね…




「メルシア、俺がそんなに信用できないかい?」




どこからともなく現れたエイドリアンに、後ろから抱きしめられるメルシアお姉さま。




「いいえ、そんな事はないわ!ごめんなさい。エイドリアン、大好きよ!」




また始まった。メルシアお姉さまが公爵家に来て以来、今まで離れ離れになっていた時間を埋めるかの様に、人目も気にせずイチャイチャするのだ。




さすがに見飽きたので、1人で先に馬車へと乗り込んだ。しばらくすると、エイドリアンが乗り込んできた。




「ごめんごめん、待たせたね」




本当よ!毎日毎日イチャイチャして!と、言いたいところだが、2人の気持ちも分かるので、「大丈夫よ」と、答えておいた。




2人で馬車に揺られ、学院へと向かう。魔王が復活して以来、バタバタして長い間学院には通えなかった。




その上、もう2度とこの学院には通えないかもしれないと言う覚悟もあった。でも、またこの学院に来られるなんてね。そう思ったら、胸が熱くなる。




学院に着き馬車から降りると、カルロ様が待っていてくれていた。




「カルロ様、おはよう」




「僕の可愛いエイリーン、おはよう」




ギューっと抱きしめられる。あら?少しパワーアップしているみたいね。




その時だった。




「エイリーン様、これ受け取ってください」




「これも」




「これもお願いします」




一瞬にして沢山の男性に囲まれ、紙袋を手渡された。




「コラ、お前たち、僕のエイリーンに近づくな!」




隣で怒るカルロ様を見て、一斉に逃げ出す男子生徒たち。




これは一体何かしら?そう思って紙袋の中を見ようとしたのだが…




「エイリーン、これは僕が預かっておくからね」




そう言って取り上げられてしまった。




「全く!こうなる事が分かっていたから、学院にエイリーンを通わせるのは嫌なんだよ!」




何やらカルロ様がブツブツ言っている。




「いいかい?君は今や女神として崇められている!僕の隙を見て、君を奪おうとする輩が現れるかもしれない!だから、学院に居る間は出来るだけ僕と一緒に居るんだよ!分ったかい?」




物凄い勢いでカルロ様に詰め寄られてしまい、つい「はい」と答えておいた。




「相変わらずね。カルロ殿下」




この声は、リリーだわ。




「リリー、おはよう」




「エイリーン様、おはようございます」




嬉しそうに私の方に飛んできたリリー。後ろにはフェルナンド殿下もいる。




「ニッチェル嬢、あまりエイリーンに気安く触らないで貰えるかい?」




「は~、相変わらず器が小さいですね。そんなんじゃ、エイリーン様を誰かに取られてしまいますよ」




「何だって!君こそ、僕達が話をしているのに間に入って来て、相変わらず図々しいな!」




また始まった、2人の喧嘩が。




「止めろ2人共。ほら、早く行かないと遅刻するぞ」




フェルナンド様に促され、3年生の教室へと向かう。今回も皆同じクラスだ。






教室に入るなり一斉に囲まれてしまった。




「エイリーン様、先日のパレード、とても素敵でしたわ」




「エイリーン様が命を懸けて皆を救ったと聞きました!本当にありがとうございます」




「これ受け取ってください」




「皆、ありがとう。でも、魔王を倒したのはリリーよ。それに、私の力なんて微々たるものよ。カルロ様やフェルナンド殿下、エイドリアンたち騎士団のみんなが頑張ってくれたから、今の平和があるのよ」




そう、決して私の力ではない。




「まぁ、なんて謙虚なのかしら!」




「増々エイリーン様のファンになってしまいましたわ。ほら見てください。私たちもエイリーン様のファンクラブに入ったのですよ」




クラスのみんなが会員証らしきものを見せてくれた。




そう言えば、そんなような物があると聞いたことがあるけれど、まさか本当にあるなんて…




「おい、君たち!エイリーンは僕の婚約者だぞ!気安く近づくな。特に男共!お前たちは、エイリーンの半径1m以内に近づく事を禁止する!いいな」




カルロ様が真っ赤な顔をして叫んでいる。それにしても、なぜ私だけこんなに注目されているのだろう…




なんだかリリーに申し訳ないわ。








今日は入学式という事もあり、私達3年生も午前中までだ。ちなみに生徒会の仕事は2年生に引き継いだので、この1年はゆっくりできそうだ。




「ねえ、久しぶりにいつもの場所で、4人でお茶にしましょう」




嬉しそうに話すリリー。




「もちろんいいわよ。そう言うと思って、紅茶とお菓子を持ってきたのよ」




「さすがエイリーン様ね」




そんな話をしながら、4人でフェルナンド殿下がいつも1人でいた場所へと向かう。




「ねえ、あれって新入生じゃない?初々しいわね」




リリーが見つけたのは新入生たちだ。どうやら入学式を終えて、教室に向かうみたい。




「ねえ、あのお方、エイリーン様じゃない?」




そんな中、1人の女生徒が私の方を見て叫んでいる。




「本当だ、エイリーン様よ!本物だわ」




一斉に私の方に向かって走って来る新入生たちに、一気に囲まれてしまった。




「私、エイリーン様に会うのを楽しみにしていたのです。お会いできて嬉しいですわ」




「俺もです!近くで見ると、また一段とお美しい」




「俺も俺も」




ギャーギャー言いながら押し寄せて来る1年生たち。




「あの…あなた達」




「キャー!!!エイリーン様がお話になられたわ!!」




何なんだこれ…




ぐったりしている私を救出してくれたのは、カルロ様だ。私をしっかり腕の中に閉じ込めると




「君たち、早く教室に行かないと先生に怒られるぞ!ほら早く!」




そう叫んで新入生たちを追い払った。




「エイリーン、大丈夫かい?今日は王宮でお茶にしよう。ニッチェル嬢もフェルナンドもいいだろう?」




「ええ、いいですわ」




「俺もいいよ」




新入生のあまりの迫力に、若干引き気味なリリーとフェルナンド殿下。その後は4人でひっそりと王宮でお茶をしたのだとか。




ちなみにエイリーンフィーバーはその後、1ヶ月以上続いたが、そのたびに権力を最大限に利用したカルロによって、エイリーンは何とか生活する事が出来たのであった。






まさかこんな事になるなんて。せめて3年生は平和に過ごしたかったのに…


byエイリーン




~あとがき~

次回、エイリーンのライバル登場?編です。


毎回カルロ様ばかりが嫉妬しているので、たまにはエイリーンにも嫉妬して欲しくて(〃▽〃)ポッ

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