第9話 魔力測定を受けます

お茶会の日を境に、私とエイドリアンの関係は急激に改善した。


今までずっと無口だと思っていたエイドリアン、実はとってもおしゃべり。


ことあるごとに絡んでくる!


若干ウザイが、ダンスの相手はもちろん、勉強や最近は剣(と言っても護身術程度だけど)も教えてくれるので、まあ良しとしよう。



使用人や家族との仲も改善し、楽しく暮らし始めて数か月、ついに8歳になった。


8歳になると、アレクサンドル王国の国民は魔力測定を受けることになっている。


そして今日は魔力測定を受ける日。エイドリアンと二人で魔力測定を受ける会場に来ている。


この魔力測定、実は心待ちにしていたのだ。


なぜって?それはもちろん、魔力測定を受けた後は、魔力量に応じて勉強や訓練が受けられるようになるからだ。


私の一番の目的は、カルロ様を死なせないこと。そのためには、やっぱり魔力量を上げるのが絶対条件だ。


もし私が魔族とも対等に戦えるだけの魔力量があれば、洞窟での戦いでカルロ様が死んでしまうこともないと考えている。



まあ私が処刑されず、ヒロインたちとも良好な関係を築きあげ、洞窟の闘いまで同行するのが必須条件でもあるけど、その点はまた後々考えていこう。



そういえば漫画ではエイリーンの魔力についてはあまり触れられなかったけれど、私ってどれくらい魔力があるんだろ?


その点も気になるところ…


そんなことを考えていると


「エイドリアン様、エイリーン様、お待たせいたしました。中へどうぞ」


案内人に魔力テストを受けるための部屋に通された。


ついに来た!!!


ドキドキしながら部屋に入ると、そこには水晶玉がおいてあり、その周りに魔術師と思われる男性が3人いた。



魔力測定はいたって簡単、手を水晶にかざすと水晶の色が変わり、その色で魔力量を測定するらしい。ちなみにピンク→黄→緑→青→赤→黒→虹色の順で魔力が高いらしい。


平民ならピンクか黄、貴族だと緑~赤が一般的だ。


黒になると魔術師レベル、虹は“聖女”の証らしい。ちなみに両親ともに黒だったそうだ。フィーサー家の家系は元々魔力が高いから、お父様が黒なのはわかるけど、まさかお母様まで黒だったとは…



まずはエイドリアンから測定開始!


エイドリアンが手をかざすと、黒く水晶が光る。


「おぉ~」と周りから歓声が上がった。



次は私の番だ、双子の兄エイドリアンが黒なら、私も黒かしら!そんなことを考えながら水晶に手をかざすと、赤色に光った。


赤か…貴族としてはまあ高い魔力だけど…黒じゃないんだ。



若干落ち込みつつ、帰りの馬車に乗り込む。


「元気出しなよエイリーン、赤なら十分魔力があるってことなんだし。」


エイドリアンが慰めてくれる。でも…私には魔力量が必要なの!黒が良かったの!!


このままじゃカルロ様を助けられないかもしれないじゃない。



「それに魔力量は訓練次第で上がるんだし、どうしても上げたいなら訓練すればいいだろ?俺も付き合うからさ」


確かに訓練次第で魔力量は上がる。絶対魔力量をもっと上げてやるんだから。


家に帰ると両親が迎えてくれた。


「エイドリアン、エイリーン、結果はどうだったの?」


お母様の問いにエイドリアンが気まずそうに答えた。


「俺は黒だったよ。エイリーンは…赤だった」


「あっ…」


沈黙が流れた後


「気にすることないわ、エイリーン。赤でも貴族の中では十分魔力が高いんだし」


「そうだぞ。フィーサー家の家系は確かに黒が多かったけど、赤もいたぞ」


お父様…あんまりフォローになっていない気がするんですけど…


落ち込んでいても仕方がない、私にはやらなければいけないことがあるのだ。


顔を上げお父様を見つめる。



「お父様、私もっと魔力量を上げたいの!そのためには訓練が必要です。どうか私に優秀な魔術師の先生を付けてください!」


「う~ん、でもエイリーンは女の子だし、魔力量をそこまで上げなくてもいいんじゃないかな?」


難色を示すお父様。


ここは泣き落としでいくか?そう思った時



「父上、エイリーンがやりたいと言っているのだから、やらさせてあげてはどうでしょうか?俺も一緒に訓練を受けますし。それにフィーサー家は魔力量の高さで繁栄してきた家です。


エイリーンにとっても、魔力が高いことは今後何かの役に立つかもしれません」


「そうよね、エイドリアンが一緒なら安心だし、あなた、エイリーンに訓練を受けさせてみたら?」


エイドリアン、お母様、ナイス!


援護射撃を受けた私はすかさず上目使いで


「お父様!お願い!」と訴える。


「わかったよ、そこまで言うなら良い魔術師を手配しよう」


やったぁ~!これで魔力を高めることができる。カルロ様を助ける第一歩を踏み出せるわ。

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