第3章 第22話
「あれ?」
私はフカフカのソファーで寝ている。
「あっ、雪夏、起きた?」
「えぇっ?
胡桃?!
ここは?」
「私の家だよ。」
「ごめん、えっと……。」
さっきまで秋奈と亮太君の会話を聞いてたのに。
何が起きたか分からない。
「雪夏、明日休み?」
「うん。」
「じゃあ、泊まって行けば?
もう夜だし。」
「え?
でも……。」
「着替えたかったら貸すよ?」
「ううん、このままでいい。」
「そっか。
じゃあ、ご飯食べよう?
うちの親が作ってくれたし。」
「え?
いや、何か状況が分からなくて。」
本当に分からない。
「秋奈と亮太君が話してたら眠いって寝ちゃったみたいね。」
「あぁ……寝たフリを……。」
「寝たフリだったの?」
「うん。」
「アハハ、そっか。
何かそれで起きないからって亮太君がここまで運んでくれたのよ。」
「え?
亮太君が?」
「雪夏さん軽いっすね?
メシ、ちゃんと食ってるんっすか?
とか何とか言いながら……。」
「食べてるけど……。」
「秋奈が不思議そうに見てたよ。
こんなに軽々と運ぶって凄いねって。」
「そうなんだ?
二人は?」
「仲良く帰って行ったよ。
秋奈が送らないでいいって言ったけど、美女が一人で夜道を歩くのは危ないっす!とか言ってて、何か笑っちゃった。
あの子、秋奈を好きなの?」
「うん。
ひとめぼれらしい……。」
「そうなんだ?
でも話し方にクセがあるだけで、良い子に見えるね。」
「めっちゃ働き者だよ。
母子家庭だから、家族の為に定時制高校通いながら働いてるのよ。」
「へぇー。
立派だね。
秋奈にとっては新しい人種見つけたくらいの衝撃かも?」
「衝撃かも!
秋奈が納得しながら話を真剣に聞いてた!」
「お似合い……かな?」
「そうかも?」
胡桃と久々にゆっくり話したのに、自分の話を全くしていない。
でも秋奈に好意を寄せる男子が現れた事が私達にとっての衝撃的な話で、それ以外に何を話すとかも無かった。
「あっ、そうそう、今日ね、学校でパンを焼いたんだ。」
「え?
パン?
そういう学校だっけ?」
「ほら、カフェのモーニングってパンとか付いて来るでしょう?
そういうパンを仕入れても良いけど、自家製で出す店もあるんだって。」
「へぇー。
胡桃、パンは作った事あるの?」
「あるよ。
職業体験でパン屋さん行ったから。」
「へぇー。
楽しそう!」
「楽しいけど暑かったよ!
焼いてるから、うちの厨房より暑い!」
「そうなんだ?
パン屋さんは夏が大変そう。」
「だよね?
強力なエアコン完備じゃないと。」
胡桃が作ったパンと、胡桃パパの作ったビーフシチュー。
それが今日の夕飯。
「いただきます。」
「どうぞ。」
「あっ、パンふわふわ!」
「昼間作って、今もふわふわってビックリだよね?」
二人で食べながら話すのが、凄い楽しくて、今日は夜更かし決定だ。
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