第3章 第20話
今日も仕事。
昨日は佐藤先輩の事で良子さんにも迷惑かけた。
「彼はどうなの?」
「あっ、大丈夫です。
昨日はすみませんでした。」
「そう。
何か寝言言ってたのよね。」
「え?
寝言?」
「雪夏ごめん……って。
そればっかり。
夢の中で喧嘩でもしたのかしら?」
「さぁ……?」
「でも大丈夫なら良かったわ。」
「ありがとうございます。」
まさか寝言を言うとは……。
私はこの事は内緒にしておこうと思う。
「ゆーきなっ!」
「あっ、二人で来たんだ?」
苑香と軽部先輩が店に来た。
「昨日はありがとう。」
「ううん、大丈夫だよ。
さっき、佐藤先輩を実家に送ってきた。」
「そうなんだ?」
「何か雪夏が病院に付き添ったのが夢だと思ってるみたい。」
「え?」
「夢の中でフラれたって笑ってた。
笑ってたけど、泣きそうって言うか……ね?」
「……。」
「本当なのにね?
何かこのまま夢って事にしておく?」
「うーん、どうしたらいいだろうね?」
「はぁ……。
困ったね。」
私も苑香も困っている。
「まぁ、その内、会いに来るかもな?」
軽部先輩がボソッと呟く。
「え?」
「嫌でも会うだろうし。」
「まぁ……。」
「気にしなくていいよ。
でも言いたい事は言った方がいいよ。
言わないと気付かない事がある。」
「うん……。」
「アイツには雪夏ちゃんが必要だと思う。
でも雪夏ちゃんがアイツを必要としてるかなんて俺は分からないからさ。」
「……。」
「仕事中にする話じゃないよな。
ところでさ、粉末になってるスポーツドリンクってどこ?」
「あっ、御案内します。」
私が困ってるのに気付いたら、話を反らしてくれる。
軽部先輩っていつもそう。
苑香は反らすんじゃなくて一緒に考えて欲しいみたいだけど。
「こちらです。」
「ありがとう。
この店のオリジナルの粉末って、どうなの?」
「書いてある通りに作ると、ペットボトルのオリジナルスポーツドリンクと同じような味になります。
飲んだ事ありますか?」
「うん、あるよ。
ちょっと俺には薄いかな?」
「それなら濃い目で作ると良いですよ。
あの有名メーカーのと同じような濃さだと、水は9割位が良いと思います。」
「へぇー。
詳しいね。」
「私はこのスポーツドリンク大好きなので、ちょっと研究してみました。」
「秋奈ちゃんみたいだね。」
「そうですね。
秋奈が自分で工夫したらいいって、よく言ってるんで。」
「そうなんだ。
とりあえず試しに買うよ。
気に入ったら箱買い出来る?」
「出来ますよ。
在庫によって、お取り寄せになりますけど。
良かったら早めに連絡下さい。
私が調べます。」
「ありがとう。
仕事に持って行くのに、これなら安いからいいよな。
ほら、貯金してるから。」
「そうなんですね。
うちのオリジナル商品、結構工夫してお得になってるので、是非試して下さい。」
「うん、色々見ていくね。
ありがとう。」
苑香と軽部先輩はしばらく店にいて、カゴいっぱいに買って帰った。
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