第1章 第13話
「はぁ……。」
ため息しか出ない。
久々に佐藤先輩と二人きりで……ちゃんと話そうって思ったのに。
ちゃんと話せなかった自分が嫌い。
「まーた、暗い顔して。
ちゃんと話せたの?」
苑香が心配してくれてる。
でも私は家でも学校でもため息ばっかり。
「もう……無理かも。」
「え?」
「触れられても癒されない。」
「はい?」
「自信ないよ、続けるの。
聞きたいこと聞けないし、言いたい事言えないし。」
「それを伝えたらどう?
そのまま言ってみたら?」
「あんなに落ち込んでるのに言えないよ。」
「落ち込んでたの?」
「落ち込んでるって言わないけど、余裕無いって。」
「それを、どうしてって聞かないの?」
「不合格の通知を見ちゃって……。
でもその事に触れるなみたいな感じで。」
「そうか……。
でもさ、触れたいけど触れられないって、近いのに遠いよね。」
「だよね……。」
近いのに遠い……。
そうだよね。
会いたい時に会える距離にいるのに、遠く感じるのは辛い。
言わないのか言えないのか分からないけど。
どっちにしても、友達から不合格って聞かされた事がショックすぎた。
何で一番先に私に……。
言えないか……。
私だから言えないんだ、きっと。
良い意味でも悪い意味でも。
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