第1章 第7話

私と苑香はショッピングを終えて、ファミレスに居る。


「あぁ……炭酸とポテトって何でこんな相性いいんだろうね?」


「何でだろうね?」


二人でジュースをゴクゴク飲みながらフライドポテトをつまむのは、よくある事。

でも、今日は何だか落ち着かない。


「そういや、お腹平気なの?

炭酸とポテトじゃない方がいい?って、今更気付いた。」


「平気だよ、美味しく食べてる。」


「そっか。

元気そうで良かった。」


「うん、良かった。」


やっぱり落ち着かない。

それは多分、苑香が何かを言いたそうなのに、言わないからだ。


「あのさ……。」


「うん。」


「ダメだと思うけど、告白してみようかな?」


「軽部先輩に?」


「うん。」


「苑香の好きにしたらいいと思うよ。」


「だよね。」


私は軽部先輩が苑香を恋愛対象と思ってないのは知ってる。

でもそれを理由に告白をやめろって言うのは違うと思う。

少なくとも嫌われていないわけだし。


「いいなぁ……両思いって。」


「そうかな?

私は両思いだからこそ、今、苦しんでるんだけど。」


「だよね。

もう卒業式だよね……これからどうするの?」


「うーん、分からないよ。

向こうは私に相談もしないし。」


「そうだね。

ごめんね。」


「ううん、苑香は悪くないよ。」


「ありがとう。」


片思いで、気持ちを伝えようか悩む。

両思いでも、気持ちを伝えようか悩む。

恋愛って悩みがつきものって思うから、覚悟してたつもりだけど、やっぱり辛いね。


「私達、ちゃんと3年生やれるのかな?」


「あぁ……自信ない。」


「先輩達がいないからさ、モチベーション上がらなーい!」


「それ、あるね。」


「もう一緒に卒業したいわ。」


「でも同学年だったら好きになってた?」


「なってないかも?」


「だよねー!

アハハ……。」


「そんなの先輩に言えないね?」


「あぁ……無理。」


本当に無理。

同学年だったら自分もいっぱいいっぱいになりそうだし。

少なくとも一緒の学校に行こうよ……とかなったら、プレッシャーだなって思う。

片方だけ落ちたら、もう地獄でしかないもんね。

別れちゃいそう……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る