第1章 第4話

私がちょうど眠ろうとした所で保健室に誰かが入って来る。


「はぁ……。」


「どうしました?」


「いやぁ……この時期で就職先を探すって、求人もたいした所残ってないし。

ハローワークでも行かせた方が早いのかな?」


「あぁ……そうですね。」


「でも、あの佐藤君がこんな事になるって……。」


「彼、優秀ですもんね、

でも運が悪かったのかな?」


「そうかもしれませんね。」


佐藤君……って、もしかして……。


来宮きのみや先生も寝不足なんでしょう?

就職先探したり、二次募集探したり、色々遅くまで残ってたんですよね?」


「まぁね、それが仕事だから。」


「でも顔色悪いですよ。

この時間、授業無いんでしょう?

起こしますから、そちらで休んで行って下さいよ。」


「うん……ちょっとクラっとするから、休ませてもらおうか。

でも生徒が寝てるんだよね?」


「うん、一人、体調不良の女子がいるけど、カーテンで仕切ってるし、私もいるから問題無いでしょう?」


「そうか……。

じゃあ、30分だけ寝かせてもらうよ。」


「はい。

おやすみなさい。」


来宮先生は佐藤先輩の担任だ。

そして、そのクラスには佐藤は一人だけ。

何があったのか分からない。

聞きたいけど聞けない。

寝られるわけがない。

目を閉じたって、何があったのか考えてしまう。

そして、その事を聞かされてないっていう現状にモヤモヤする。

彼女だから話して欲しいけど、彼女だから話せない?

私はどうして本人以外からの言葉にこんなに揺さぶられないといけないんだろう。

凄く辛い……。

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