森聖ユグドラシル学園エルフ部!

じょう

第1話 ようこそエルフ部へっ!

「では転入生を紹介します、自己紹介を」

 女教師エルフが促すと少女は一歩前へ進み出た。美しく整えられた縦ロールがふわりと揺れる。

「ごきげんよう皆様、わたくしはマナ、本日よりこの森聖ユグドラシル学園にて皆様と共に学ばせていただきますわ、どうぞよろしくお願いいたしてよ。おーっほっほっほ!」

 自信に満ちたマナの高笑いだったが、教室の女生徒エルフたちは表情を変えることもせず、静かに見つめているだけであった。

「では転入生、席へ」

 教師エルフは冷淡に促した。マナはいささか不満げに示された自席へと向かうのであった。

(まあ、いいですわ。この学園で最も高貴なエルフが誰か、すぐに思い知らせて差し上げますわ)

 そんなことを思いながら歩みを進めていくと一番後ろの席、黒髪のエルフと目が合った。吸い込まれそうな黒い瞳。マナはふと足を止め、見惚れてしまう。

 ふっ、と黒髪エルフが笑みを浮かべた。その笑みがとても美しくて、優雅で――

「どうしました?早く着席なさい」

 女教師エルフの声に我に返ったマナは慌てて着席する。背後の黒髪エルフの視線をなるべく気にしないよう、振り返りたい欲求を静かに押し殺すのだった。



 森聖ユグドラシル学園、それは人里離れたユミルの森の中に存在する、世界中のエルフたちが集まるお嬢様学園である。

 通常エルフたちはそれぞれの棲み処から出ることは少ない。同属の存在を知らず数百年を過ごすエルフも決して珍しくは無いのだ。だがそんな中でも立場のあるエルフや、より深い知識を欲するエルフ、あるいは物好きなエルフたちが集まり知識を収蔵するための大図書館を作った。

 やがてその周囲には学問の徒が集い、そして学園ができた。それが森聖ユグドラシル学園である。入学条件は一つ、エルフであること、それだけだ。

 逆を言えば、この学園には人間は一人もいない。この学園の時の流れはエルフたちのそれである。学生エルフたちもまた、のびやかに、ゆっくりと、そして起伏のない時を過ごしていた。



(なんですの……この手ごたえのなさ)

 マナは不満げな表情を浮かべ、一人サンドイッチを頬張っていた。木漏れ日が溢れる学園の中庭にはエルフ影はまばら、マナはぽつんとベンチに腰掛け昼食をとっている。

(のんびりした人たちばかり、押しても引いても何も響かないじゃない)

 午前の授業を終え、マナは気を張っていた自分が馬鹿みたいに思えてきていた。授業を通じた彼女の優秀さのアピールは女教師エルフにも学生エルフにも、さざ波のような感情の動きすらもたらさなかったのだ。

(いえ、ひとりだけ――)

 そう、彼女の後ろの席に座るあの黒髪のエルフ、彼女の表情だけは見ていない。彼女は――

「あの方は――」


「やあ」


 突然声をかけられてマナは飛び跳ねた。

 目の前にいたのは、あの黒髪のエルフだった。

「ご、ごきげんよう」

「ああ、ごきげんよう」

 妖しげに、そして美しい微笑みを浮かべた彼女に、マナは少したじろいでしまう。

「なにかご用ですの?」

「ああ、そうさ。放課後、君に来てほしい場所があるんだ」

 黒髪のエルフは大げさに手を広げ、学園の裏手を指し示した。

「学園の裏手の小さな竹林、その中に小屋がある。そこに来てほしい。是非君に紹介したいエルフがいるんだ」

 そういうと黒髪エルフはひらりと振り返り立ち去ろうとする。

「お、お待ちになって!」

 マナは思わず呼び止めてしまう。

「なんだい?」

「え、ええと……貴女、お名前は?」

「私はカグヤ、それ以上は……また放課後で」

 今度こそ黒髪エルフ――カグヤは振り返らず、立ち去って行った。



 午後の授業中、カグヤは全くマナに話しかけて来なかった。マナは何度か真意を確かめるため振り返ろうとし、その度首を振って己を律する。自分がこの学園で最も優れたエルフ、それなのに他人への興味でそわそわしてしまうだなんて自分が許せない。

「では本日はこれまで」

 教師エルフの号令で学生エルフたちはやや緊張の糸を解く。放課後だ。

「あの、カグヤさん?」

 マナは振り返りながらカグヤを呼ぶ。

「あら……?」

 背後にいるはずのカグヤの姿は、すでに無かった。メモが机に置いてある。

 ――待ってるよ――

「いったいなんですの……?」

 訝しむマナだったが、やがて立ち上がると学校の裏手を目指し歩き出した。

「裏手の竹林、そう言っていましたわね……」

 静かな学園内だが、裏手は輪をかけて静謐な空間であった。木立の中を歩いていくと、やがて様子が変わり始める。オークの樹が徐々に減ってゆく、そして代わりに。

「竹……何でここだけ……?」

 既にマナは竹林の中を歩いていた。空気もどこか違って感じられる。

「っと……」

 足元に違和感を覚え足を止める。真新しく掘り返された……否、よく耕された畑であった。

「畑?どうしてこんな所に……」

 何かが植っているようだが、詳しくはわからない。マナは畑を避けて歩みを進める。

 畑を過ぎるとまた少し様子が変化した。竹林の竹が、幾本も断ち切られている。スッパリと、綺麗な断面を覗かせている。

「だ、誰が一体こんな事を……?」

 マナは一抹の不安を覚えながらさらに歩みを進めて行った。

 断ち切られた竹はまるでマナを道案内するかのように一列に並び、そしてその先に小さな小屋が見えた。

「あれは……茶室?」

 小屋の入り口に向け歩くマナ。ぽう、と地面に光が灯り、暖かい光とともにたけのこが生えてくる。マナは小屋の入り口に手をかけた。

「カグヤさん、いらっしゃって?」

 中へと滑り入るマナは、畳の匂いを感じ取った。縁起を担いだ伝統的な敷き方の畳の上を歩き奥の襖に手をかける。

 タン、と襖が音を立て開く。その奥は落ち着いた調度品の並ぶ書斎の様な部屋であった。そして、そこにはカグヤと見知らぬエルフの少女が2人。


「ようこそ、ユグドラシル学園エルフ部へ!」


「は?」

 マナは呆気に取られる。何と言った?エルフ部?

「やあマナ!本当によく来てくれたね!改めて自己紹介しよう、私はバンブーエルフのカグヤ、このエルフ部の部長さ!」

「か、カグヤさん?」

 昼間の神秘的な笑みはどこにも無い。カグヤの顔は如何にも楽しみを抑えきれないどこにでもいる少女の様であった。

「わたちはモイ、ポテサラエゆフだよ」

「は、はあ、ポテ……なんですの?」

 カグヤの横に座る子供……否、四頭身くらいしか無いが紛れもなく少女のエルフはモイと名乗った。

「たべゆ?」

 モイは手にしたお皿を差し出す。そこにはこんもりとポテトサラダが盛られていた。

「え、いえ、結構ですわ……?」

「そ、もくもく」

 それだけ言うとモイはマナから視線を外しポテトサラダを食べ始めた。

「わーい!マナちゃん!よろしく〜〜!!」

「ひゃっ!」

 もう1人のエルフがマナに急に抱きついてきた。凄い力だった。

「ま、待ってください……苦し……」

「ショウコ、ほら自己紹介だろう?」

「あ!そうだった!」

 カグヤに促されマナを解放したエルフは改めて名乗る。

「私ショウコ!えーっと……みんなからはクソバカエルフって呼ばれてるよ!」

「は?なん……馬鹿……え?」

「こらショウコ、それはやめようと言ってるじゃないか」

 カグヤは少し嗜めたが、ショウコはまるで気にしていない様だった。

「でもでも!せっかく覚えてるんだから!」

 うー!と唸りながらショウコはぴょこぴょこと飛び跳ねる。身長が高いせいで、それだけでも結構な地響きがする。

「マナ、彼女は……少し物覚えが悪くてね、自分のエルフ種族も覚えていないんだ」

「そーなの!だからみんなが教えてくれたの!」

「……まあ仲良くして欲しい」

「あの、話が全然見えませんわ」

 マナは後ずさりながら首を振る。彼女たちは何を言っているのだろうか?

「勧誘、だよ。エルフ部のね」

「ですから、そのエルフ部とはいったいなんなのですの?」

「よくぞ聞いてくれたね、説明しようじゃないか」

 カグヤは優雅に椅子から立ち上がると壁に掛けられた掛け軸を示した。そこには力強い筆遣いで『 一 所 懸 命 』と書道されていた。

「一つの所に命を懸ける、儚く短い人間の世界に伝わる言葉さ。彼らは私たちに比べて余りに短命だが、その命の輝きはどんなエルフたちよりも美しい。彼らが生み出す文化はエルフの里にはどこにもない、刺激に満ち溢れたものなのさ」

「はあ」

 マナはぽかんと相槌を打つしかない。カグヤは何を言いたいのだろう。

「マナ、君も感じただろう?この学園のエルフたちはみな凪いだ水面のように心穏やかだ。いや、無感動だと言っていい。エルフその長命さゆえに、希薄な生を送っている、そうは思わないかい?」

「そ、それは……」

 そう、どんなにマナが知識を披露したとしても生徒エルフも教師エルフもマナが望むような反応はしてくれなかった。

「私はそんなエルフ生は嫌だ。たとえその先に果て無き退屈があるのだとしても、もっと楽しく、あらゆることに感動し、刹那的に生きたいのさ、人間たちのように!」

 カグヤは舞うようにその場でターンし、両手を広げ語りかける。視界の端では話に飽いたショウコが寝転がり、その腹をモイが足でくすぐっていた。

「エルフ部は、退屈なエルフの生に刺激を求めていろいろな活動をする、そんな集まりさ」

「そ、それがわたくしに何の関係があるんですの」

「だから言ってるじゃないか、君をスカウトしに来たんだって」

 カグヤはまっすぐにマナの瞳を見つめる。その奥にとても美しいものがあるというように。

「な、何故わたくしですの?」

「君は他のエルフとは違う。瞳の奥に宿るギラギラした光が私を誘ってやまないのさ」

 カグヤはずいとマナに近寄る。息がかかりそうな距離で見つめ合う。吸い込まれそうな黒い瞳がマナを覗き込んでいる。

「どうだい?誘いを受けてくれるかい……?」

 そう囁きながら、カグヤはそっとマナの髪に手を伸ばし――


「——触らないで!」


 マナは咄嗟にカグヤの手を振り払っていた。

「ゆ、許せませんわカグヤさん、貴女言うに事欠いて……それではまるでわたくしが……わたくしが人間のようだとでも言うんですの!?」

 マナの顔は今や怒りと恥辱に紅潮していた。わなわなと震え、カグヤから目を反らす。

「マナ、すまない。そういう意味ではないんだ。ただ」

「もう結構ですわ!これで失礼させていただきます!」

 カグヤの言葉を遮ると、マナは踵を返し小屋を飛び出していった。

「マナ!」

「あれー、マナちゃんどうしちゃったの?」

「カグヤがマナを怒らせた」

「うん……さてどうしたものか」



「はぁ……はぁ……」

 マナは肩で息をしながらオークの樹にもたれかかった。カグヤの言葉を思い出しながら髪に――髪に隠した耳に手を触れる。

「わたくしは……誇り高きエルフ、エルフなのに……!」

 だんだんと呼吸が落ち着いてくる。だが一向に胸のもやもやは晴れてはくれそうになかった。

 気を取り直し、一度だけ竹林を振り返ると、それ以上は何も言わずマナは学園の方へと歩き出した。

 段々とエルフ気が戻ってくる。マナは彼らの視線を気にするようにセットされた縦ロールをもう一度整えなおした。

「わたくしは……」

 視線の先には花壇に水をやる二人のエルフの姿があった。マナは言いようのない孤独感に苛まれる。

 踵を返し、寮の自室へ戻ろうとしたその時であった。轟音と共に園芸倉庫の扉が内側から爆ぜ、奇怪な樹木が飛び出してきたのだ!

「おい気をつけろ!暴れマンドレイクだ!」

「なんだって!?」

「きゃあーー!」

 園芸エルフたちは身を竦める。飛び出してきたのはまるでエルフ体のようにまで根を育たせたマンドレイクだった。

 読者諸兄はマンドレイクをご存じだろうか?その根は毒にも薬にもなる神秘的な薬草であり、しかし容易には取り扱うことができない。なぜならば、ひとたびマンドレイクを引き抜いてしまえば悍ましき絶叫と共に自らを抜いたものを死に至らしめてしまうためである。

 そんなマンドレイクが、暴れているのだ。異常事態である。

 後の学園の調査ではマンドレイクの根を鉢植えから垂らし引き抜くことなく根を収穫する園芸エルフの実験栽培が行われていたことが判明している。その過程で異常成長したマンドレイクが自力で移動するまでに能力を獲得してしまったのだ。

 暴れマンドレイクは頭部に植木鉢を被り、のたうつ根で周囲を見境なく打擲している。植木鉢から漏れてくるくぐもった叫び声が心臓をきゅうきゅうと締め付けてくるかのようであった。この暴れようではいつ鉢が割れ、死の絶叫が辺りに響いてしまうか分からない。

「い、急いで無音魔法を!」

 絶叫を聞いてしまうことを恐れた園芸エルフたちは自分の耳に無音魔法をかけていく。だが、マナは凍り付いたままだ。

「おい!あんた、早く魔法をかけるんだ!」

 園芸エルフの声に、ようやくマナは無音魔法をかけようとする、だが――

「えい!えい!……どうして、どうして魔法が……!」

 マナの詠唱は魔法に結実しない。

「わたくしは、エルフ……誇り高いエルフ!なのになぜ……!」

 何故?それはマナ自身が一番理解していた。

 暴れマンドレイクの根がマナの頬を打つ。セットされた髪が払われ、彼女の耳が露わになった。

 その耳は、一般的なエルフの半分ほどの長さしかなかった。

「まさか……あんたハーフエルフなのか?」

 園芸エルフたちから驚きの声が漏れる。

 ハーフエルフ。エルフの種族の一つ。——否、それは種族などではない。エルフと人間、相容れぬ二つの種族が交わり生まれた者への……蔑称だ。

 彼らは生まれつき純血エルフに比べ魔力マナの扱いが不得意だ。マナはその中でも、ほとんど魔力マナを扱うことができないのだった。

「わ、わたくしは……」

 ぶたれた痛みよりも、耳を見られたことのショックからマナは座り込んだまま放心状態であった。

 暴れマンドレイクは更に狂ったように暴れ始めた。

「い、いかん!」

 園芸エルフが慌てて止めに入ろうとするも、とてもではないが間に合わない。

 暴れマンドレイクの根が、マナに迫る――!


「竹魔法・雨後の筍」


 地面がぽう、と光ると、マナと暴れマンドレイクの間にバリケードのごとく長細い何かが生えてくる。

 暴れマンドレイクの根の一撃を受け止め、しなり、はじき返した。

「え……?」

 マナは目の前の出来事を不思議そうに見つめた。彼女を守ってくれたもの、それは、青く艶やかに屹立した、竹であった。

「間に合ったようだね、マナ」

 振り返ると、そこにはカグヤが立っていた。

「カグヤさん、貴女」

「話はあとだよ、立てるかい?」

 カグヤが差し伸べた手を、恐る恐るマナは受け取った。

「さあ、下がっているといい。私が相手をしようじゃないか」

 カグヤはマナをかばうように一歩前へ進み出た。暴れマンドレイクは全身を奇怪に震わせ飛びかかる!

 カグヤが地面に手をかざすと、導かれるように竹がにょきにょきと生えてくる。手ごろな長さで斜めに手刀を入れると、即席の竹槍が完成した。

 暴れマンドレイクの狂ったような打撃を、カグヤは竹槍で次々といなしていく。相手に対しほとんど衝撃を与えない、柔らかな動きであった。

 打撃!かわす。打撃!いなす。打撃!かわす。打撃!いなす。

 ひらりひらりと舞うがごとく、カグヤの槍さばきは美しかった。しかし、カグヤがどんなに攻撃の勢いを殺しても、徐々に暴れマンドレイク鉢植にはヒビが入っていく。割れてしまうのはもはや時間の問題のようだった。

「さて、そろそろ大変そうだが……」

 カグヤは挑発的な笑みを浮かべる。そして何かに気づいた彼女は大きく後ろへと飛びのいた。


「分解魔法・茹での章」


 舌足らずな声が響くと、地面がぐずぐずにほぐれ始めた。声の主はモイ、彼女の魔法の仕業なのだ。

 暴れマンドレイクは足を取られ、徐々に地面へと沈んでゆく。さっきまで固かった地面は今やまるで逃れることのできない沼のようだ。

「ショウコ!とっととやゆの!」

 モイが呼びかけると巨大な影が空へと躍り出た。


「いい感じの岩のまほう~!」


 巨大な岩を抱えたショウコが暴れマンドレイクの真上に躍り出る。そしてその岩を空中でぐるぐると振り回すと、暴れマンドレイク目掛け投擲する!

 轟音を立て岩の下敷きとなった暴れマンドレイクは、やがて全身が地面に埋もれたことで落ち着きを取り戻し、大人しくなってしまったのだった。

「やった~!」

 ショウコがガッツポーズをする。モイとカグヤもまた、満足げに笑みを浮かべている。

 マナは、そんな三人をうらやましそうに見つめていた。



「助けていただいて……ありがとう」

 マナは深々と頭を下げる。

「気にすることはないよ、だって仲間じゃないか」

 カグヤの言葉に、マナは俯いたまま唇をかみしめる。

「仲間ではありません……この学園には、わたくしの仲間は一人だっていませんのよ!」

 マナは髪をかき上げ、短い耳を三エルフに見せつけた。

「わたくしはこの学園で独りぼっち、あなた方エルフとは違う、ええ、貴女のおっしゃる通り、わたくしはむしろ人間の方が近いんですのよ!」

 マナの慟哭に、カグヤは首を振った。

「同じエルフなんて、この世には一エルフもいないさ。私がいて、モイがいて、ショウコがいて、そしてマナ、君がいる」

 まっすぐマナを見つめる黒い瞳には、ただエルフの少女が映っている。

「どんなエルフも、受け入れる。それがエルフ部さ。入って……くれるかい?」

「わ、わたくしで……本当にわたくしでいいんですのね……?」

「もちろんだよ」

 カグヤの返事を聞いたマナは、ぽろぽろと涙を抑えきれずこぼしていた。

「ありがとう……ありがとう」

 震えるマナの肩を、カグヤは優しく抱きしめる。カグヤのぬくもりに、マナは緊張の糸が切れ、わんわんと泣き始めた。

「気をつけゆといいの、カグヤは誰にでもそういうことすゆ」

「えー!じゃあカグヤちゃん!わたしにもして~!」

「あっあたちは!」

 モイを抱き上げたショウコがカグヤの腕の中にぐいぐいと入ってくる。

「ははは、いいともさ。今日から私たちは、四エルフでエルフ部だ!」

 こうして、マナの学園生活は幕を開けたのだった。

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