勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ、今度の日曜日は、暇?」

クラスの女子から、声をかけられた。


たまに話はするが、特別仲は良くない。


「暇じゃない」

「どうして?」

「ゴロゴロしたり、ダラダラしたり、お昼寝したりして、忙しい」


呆れられると思った。

確かにそうだ。


「じゃあ、仕方ないね」

「うん」

「他の子誘うわ」

「わかった」

もう機会はない。


「・・・って、言うと思った?」

襟首をつかまれる。


「日曜日は、私の家に来なさい」

「どうして、僕なんかを?君ならもっと仲のいい友達いるだろ?」

「今回は、君じゃないとだめなの」

「どうして?」

「いいから来なさい」

「君の家知らない」

「迎えに行くから」


彼女の名前は、加藤玲亜。

カトレアと呼ばれている。


でも、カトレアの花言葉が意味するような、女性ではない。


「君も人の事言えないでしょ?」

「なんで、僕が・・・」

「君の名前は?」

「山田太郎」

「本当の名前を訊いてるの!」


面倒臭い。


「山茶花 麟童(さざんか りんどう)」

「名前負けだね」

「ほっといて」

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