第42話:青空の下の告白
イズミはリリの手を掴み、ニコリと悪意のない笑顔で研究の協力を求める。イズミの表情と声には悪意はないもののイズミの後ろには蛇の頭を持った怪人が、数人の
「…これは脅しですか?」
「別に強要をする気はないわよ〜」
リリは不愉快さを隠す様子もなく、思い切り顔をしかめる。それを見てイズミはクスクスと笑うと、手招きする。
「"協力"してくれるみたいね〜、少しお話ししましょうよ」
「ここの人たちに手を出さないと約束をしてくれますか?」
「約束、約束ね〜? そうね〜、少なくともアナタが相手をしてくれる間は手は出さないわ〜。私以外、改造手術はできないしね。どう?」
(リリ、ここはとりあえず従おう。相手が油断した時がチャンスだよ)
リリは少しばかり考えるが、奏矢の後押しもあってイズミへとついていく素振りを見せる。イズミはそのまま怪人を押しのけると、リリを案内し始める。
リリは扉から廊下に出る直前に、後ろを振り返る。そこには不安げにするクラスメイトと、頭を押さえながらイズミを睨みつける名瀬の姿があった。
(…みんな、ここから逃すからね)
リリはそう思いながら、イズミのあとをついて行く。似たような狭く薄暗い、化学薬品臭がする通路をイズミとリリは連れだって歩く。そして少しばかり歩いた先の小部屋の扉に手を掛けると、そこにイズミはリリを招き入れる。
「ここ。ここなら誰にも邪魔をされないわ〜」
「えっ、なに…ここ」
(なんで下水道の中に青空が)
リリと奏矢は同時に驚く。
扉から部屋に入ると暖かな日差しが降り注ぎ、そよ風が顔を撫でる。抜けるような青空の下には丁寧に刈りそろえられた芝生と、真っ白な円卓と対に置かれた椅子が2脚。イズミは部屋に入ると椅子に座り、手で机越しの椅子に座るように促す。リリは躊躇したが、一歩ずつその下水道の中にある青空が広がる異様な部屋を警戒しながら進むと、イズミの正面の椅子へと座る。
「そんな緊張しなくても良いわよ〜」
「…なにを聞きたいんですか」
「そうねぇ〜。ま、色々聞きたいことはあるんだけど〜。その前に
「面白いはなし?」
「そうよ〜、我らが
「それは…あなたたち
「ぷっ…くすくす。 …面白いこと言うわね〜、誰からそんなことを聞いたの? いつ、だれがそんなことをしたいって言ったの?」
イズミは笑いすぎて涙が出る目を擦りながら、リリを嘲る。一方でリリは奏矢が言っていたことと違う反応を示すことに衝撃を受けていた。
「えっ…でも、なら、なんで」
「そうね〜、簡単に言っちゃえば世界平和のためかしら〜。まあ、もっとも
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