気が付いたら25年前に戻っていた

優美

第1話 もう一度…

 誰しも、人生やり直せたら、学生時代に戻れたら…なんて思いを持っていたりするものじゃないでしょうか?


 この物語の主人公、真美もそんなことを思ってる40過ぎのおばさんである。

なりたかった職業も夢破れ、今は仕事と育児でへとへとの毎日を送っている。


 高校時代、進学校に通っていた真美は、クラスの落ちこぼれ…理系クラスにいたので、友人の半分は医学部に行って医者になってる。もしくは研究者…同窓会で年収の話になるのが一番嫌である。自分がダントツ年収が低いのがわかっているからだ。中小企業の辛うじて理系的な仕事はしているものの、中小企業の年収なんてたかが知れている。しかも、うちの会社はワンマン経営でブラック…。社員に還元しようなんて考えはさらさらない。子供がいる女性はなかなか、転職なんて考えても雇ってくれるところもない。余程の実力があるか、子供のお迎えなんかをしてくれる他の家族がいなければバリバリは働けない。


 同じ教室で肩を並べた仲間だが大人になってからは距離を感じ、自分から距離を置いている。辛うじて、年賀状を交換する程度の関係だ。


 今の人生も不幸せではない、不妊治療はしたものの、子供にも恵まれ、小さいながらも一軒家で暮らし、なんとか、明日食べるものにも困ってはいない。贅沢はできないが、そこそこの生活はしている。持病はあるものの今日明日死ぬという病気でもない。これを、幸せと感じ噛みしめていけることが幸せなのかもしれない。でも、隣の芝生は青い。欲も出てくる…


「はぁ~もう一度人生やり直せたらな~」

最近それが口癖のようになってる。



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