第8話 ほじくられるのは?

「ポンはくろだね?」


「……」


 ユウがわけのわからないことを言っているわ。


 わたしはダークグレーなの。


 真っ白な靴下と手袋もつけているわ。


 黒猫ではないのよ。


 そのあたりの違いが幼いころのユウには分からなかったみたいね。

 


「まっくろすけすけ出ておいで♪ 出ないとめだまをほじくるぞっ♪」


 わたしは黒猫ではないのに、ユウがなにやら歌いだしたわ。


 「? もう一回、ユウ、歌って?」


 お姉ちゃんがユウの歌を聞きつけてリクエストしているわ。なにかおかしなところでもあったかしら?


「まっくろ すけすけ♪」


「まっくろ くろすけよ。」


「? まっくろ すけすけ♪」


「まっくろ くろすけ!」


「?」


「ユウ、一緒に歌ってみようか。」



「まっくろ くろすけ♪」

「まっくろ すけすけ♪」


 お姉ちゃんとユウが顔を見合わせて首をかしげているわ。


「くろすけの発音がむずかしいんだね……。もう一回、歌って聴かせて?」


 お姉ちゃんにリクエストされて、ユウがご機嫌に歌い出したわ。


「まっくろ すけすけ 出ておいで~♪ 出ないとめだまをほじくるぞっ♪」


 

 お姉ちゃんが堪えきれないかのように爆笑しだしたわ。

 どうしたのかしら?


「上手だね! もう一回、歌って!」


 

 なにがそんなに楽しいのかしら?


 人間のすることって理解できないことも多いのよね。



「ふふふ  まっくろすけすけ、ほじくられるのは ホントに目玉かしら?」


「にゃ(?)」


 わたしに聞かれたって分からないわよ。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る