海月
梅野語呂良さ男
第1話、光景
クラゲが僕の瞳に浮かんだ。
ゆっくりとしぼみ、また傘を広げる。
それは光の粒を食むかのような、悠然とした遊
泳だった。
本当に生きているのか、脳のないままに波に身
をあずけ、それでいて確かに物を食らい、子を
残しながら漂い続ける。
飽和した頭には、このような発想しか浮かばな
い。その群れは、星一つない空をうねりながら今日も、ビルの明かりをその身に透かす。
クラゲが僕の瞳に浮かぶ。ゆっくりとしぼみ、
また傘を広げる。星一つない空には航空障害灯の赤がゆっくりと瞬いていた。
そして僕は今日も、ふと、平然とした雑踏の渦に戻っていく。
飽和した頭には、このような発想しか浮かばなかった。
海月 梅野語呂良さ男 @pripriplotchan
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