第4話 井戸を覗いたら


将大には、中学の頃から付き合っている彼女がいた。


名前を慶子という。


最近、その慶子が将大の友人の貴之と仲良くしているとクラスで噂になっていた。


高校2年の夏休み前。


教室の一番後ろの席にいる将大の側に慶子がやってきて、こんなことを言った。


「ねぇ、夏休みに心霊スポットに行かない?」


オカルト好きな慶子は、よく心霊スポットに誘う。


そういうものが苦手な将大は、乗る気がなく、ダルそうに息をついた。


「えー…またかよ。」


「何よ、行かないの?」


机に上体を倒し、ダルそうにしている将大に、慶子は、少し怒ったように言った。


「将大が行かないなら、貴之誘って行こうかな。」


貴之の名前に、ガバッと身を起こし、将大は、眉を寄せる。


「何だよ、それ。」


「貴之、そういうの好きだから、一緒に行ってくれるかも。」


嬉しそうに言う慶子に、将大は、少し大きな声で、こう言った。


「行くに決まってるだろ。心霊スポットでも、どこでも行ってやるよ!」


その将大の言葉に、慶子は、クスッと笑った。

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