第二十四話「便利な身体」

「まてまてまて」


 全く意味が分からない。

 昨日はSPを77ポイント手に入れて今日は53、いや使った分を含めて63ポイント手に入れている。

 とっくに上限の100ポイントは超えているではないか。


 ……今、思えば昼に<STR>に10ポイント振った時には既に100ポイントを超えていた?



「ふぅ……」


 考えている内に少し冷静になった。


 俺の出した結論としては、カテラとリベイロの片方は上限に到達したがもう片方は上限が50体ではない、もしくは1体で得られるスキルポイントが1ポイントではない。

 この2パターンが考えられる。


 しかし、今までの経験から仮説を立てても間違っているのは目に見えているので深く考えるのは止めることにした。


 明日、確かめれば済むことだ。



 それよりも今は予定外のこのポイントの使い道を考えよう。


 やはり、念のため40ポイントは残しておきたい。


 とりあえず、もう少し<STR>が欲しいので、まず5ポイント使う。

 これで+50だ。


 入り口の近くに置いてある鎌を拾いにいき、何度か振ってみる。

 一応、全力で振れるようにはなったが、まだ鎌が手から離れそうになる。


 俺はさらに5ポイント使う。

 昼間と合わせてこれで+200になる。


 これでしばらく安定するだろう。


 残り60ポイント。


 次に、今日の帰り道に自分の体力の無さを痛感したので<STA(スタミナ)>に10ポイント使う。

 これで<STA>も+100になる。


 おそらく、この10ポイントは大きい。


 これで残り50ポイント。


 正直<HP>に10ポイント振ることも考えたが、俺の今振っている<職業スキル>のおかげで<EVA(回避)>と<DVA(動体視力)>が60%上がっているのでそれぞれに5ポイントずつ振ることにした。



「ステイ」


 この世界に着いてから考える時間が増えた気がする。

 異世界というのはもう少しイージーかと思っていた。



 俺は<職業スキル>に100ポイント振る過程で得た<特能>を少し試す。



「疲れた」


 今日はもう寝よう




 次の日の朝、俺はいつものようにケイに起こされる。

 朝ごはんのメニューは変わらない。


「今日は水曜日だからお風呂の日だよ!」


 食事を置くと、ケイはそう言い残し走り去っていく。


「なん……だと……」


 てっきり週1かと思っていたお風呂が週2とは嬉しい知らせだ。


 ……日曜と水曜がお風呂の日で、土曜がお肉の日になっているのか。


 この世界が週7日制の事にも驚いたが、カレンダーらしき物がないこの村で曜日を把握するための先人の知恵なのかもしれない。



「……」


 それにしてもこの世界にきてからそろそろ一週間か……


 新しい事だらけだったので1か月ぐらいに感じる。


 顎に手を当て、髭が生えてないことに気づく。


 そういえばこの世界で汗をかいた記憶がない。


「便利な身体だな……」


 俺は少し感傷に浸りながら朝ごはんを食べ始めた。



 朝ごはんを食べ終わると綺麗に畳んでおいたスーツを手に取り入浴場へと向かう。


 前と同じ失敗をしないよう、今回は少し長めに入ろう。



 入浴場に着き、ささっと脱衣所で服を脱いで風呂場に入ると、そこにはカイの姿があった。

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