第二十三話「妹」

「ただいまー」


 俺はケイの後ろに忍び寄り、わざとらしく大きな声でケイに話しかけた。


「うわっ!」


 俺の夜ご飯がケイの手の上で踊る。


 驚き方がカイと同じだ。


「ただいま」


 今度は普通の声量でケイに話しかける。


「アレン!」

「脅かさないで!」


 ケイはほっぺたを赤く膨らませながら家の中に入っていく。

 俺もその後に続き家の中に入った。



「カイってすごく強いでしょ」


 ケイがニコニコしながら食事を地面に降ろす。


「うん、すごくどころじゃないよ」


 俺は寝床に腰を下ろす。


「へへへっ」


 ケイはほっぺたに手を当てながらヘラヘラしている。


「それにしてもさ」

「カイっていつも門の前にいるけどいつレベル上げてるの?」


「えっとね」

「昔は一人でレベルを上げに洞窟に行ってたけど最近は行ってないみたい」

「カイがね『このあたりで戦うにはこれで十分だ』って言ってたよ」


 ケイが声を低くしてカイの物真似をしながら答えてくれた。


「ふーん」


 まあ、あの強さだったら十分すぎるぐらいだな。


 俺はケイが家を出るのを軽く手を振って見送り、ご飯を食べ進めた。


 


「さてさてさて……」

「アクティベイト」


 今日の昼に残しておくはずだったSP40ポイントの内、10ポイントを振ってしまったので、もう一度計画を練り直そう。


「ん?」

「え?」

「どういうこと?」


 思わず10回ぐらい瞬きをしてしまった。

 残り30ポイントになっているはずのSPが、70ポイントになっている。


「……うーん」


 俺にこの世界は難しすぎるようだ。

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