好きな子に告白したら、『先生と付き合っているんでしょ?』という根拠のない理由で振られたのだが⁉
さばりん
第一章 告白玉砕編
第1話 告白玉砕
西の空へと傾く夕陽に照らされる放課後の校舎裏。
俺はふと腕時計に視線を落とす。
時刻は約束の時間である四時三十分へ差し掛かろうとしていた。
「そろそろか……」
そんな独り言を呟きつつ、ちらりと校舎裏へやってくる人影がないかを確認する。
まだ約束の人物が現れる気配はない。
緊張からか、俺は喉に何かつかえたような違和感を覚えていた。
俺は咳ばらいをして、喉につかえている不思議な感覚を取り除く。
そして、
数回呼吸を繰り返してから、ふぅっっと大きく息を吐いて、一気に肩の力を抜いて脱力すると、少し気分が落ち着いたような気がした。
視線を向ければ、西日を背中に受けて伸びた影が一つ、ゆっくりとこちらへ近づいてきていた。
そして、校舎の影から姿を現したのは、俺が待ち望んでいた人物。
校舎裏へやってきたのは、まるで小動物のようにおどおどした様子で、制服をきちんと着こなした清楚感漂う美少女。
ミディアムヘアの髪を
夕陽を背中から浴びているため、小顔な彼女の表情はあまり
俺はそんな彼女に向かって、にこりと微笑んで手を上げた。
「来てくれてありがとう。ごめんね、急に呼び出しちゃって」
俺がそう答えると、彼女はふるふると首を横に振る。
「平気だよ。それで、私に大事な話があるって書いてあったんだけど……」
彼女はポケットから一枚の手紙を取り出して、俺へ見せつけてくる。
そう、俺は彼女の机の引き出しに、手紙を忍び込ませておいたのだ。
『放課後、四時半。校舎裏に来てください。大切な話があります』とだけ書いて……。
しばし、二人の間に流れる沈黙。
微かに秋の心地よい生温い風が吹き抜けて、彼女の髪を
大丈夫、自信を持つんだ!
自分の心の中に言い聞かせて、気持ちを奮い立たせる。
胸が締め付けられそうなほど緊張する中、俺は大きく息を吸ってから、彼女へ言うべき言葉を口にした。
「ずっと前から
今言える最大限の言葉を口にして、俺は頭を下げる。
俺、
俺にとっては一世一代の告白。
やるべきことはすべてやった。
あとは、彼女の返答を待つのみ。
「ありがとう須賀君。気持ちは凄いうれしいよ。けど、この言動はちょっといただけないかな。いくら罰ゲームだとしても、ここまでする必要ないと思うけど」
「えっ?」
思いがけない言葉に、ばっと顔を上げて田浦さんの顔を見つめると、彼女はなぜか困惑した表情を浮かべていた。
むしろ困惑しているのは俺の方。
「ど、どういうこと?」
理解できないと言ったように田浦さんへ聞き返してしまう。
無理もない。だって俺は、本気で田浦さんに告白しているのだ。
なのに田浦さんは、俺がまるで冗談半分に告白しているような受け答えだったから。
すると、田浦さんは『本当にわからないの?』といったように、肩をすくめて首を傾げる。
「だって須賀君、
「……はい⁉」
次々と出てくる新情報に、俺は
「ダメだよ。いくら罰ゲームだからって、大切な彼女の信頼を失うような行動とっちゃ!」
田浦さんは人差し指を鼻の上にあてて、俺を優しく
「わかった?」
「は、はい……」
「よろしい! それじゃ、また明日学校でね」
俺が状況を理解できていないまま生返事をすると、それを肯定と捉えた田浦さんは満足した様子でにこりと微笑み、
俺はその後ろ姿を眺めながら、ただ呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
田浦さんが校舎裏から去っていった直後、俺は頭の中で情報を整理する。
俺が紗季先生と付き合っている……⁉
「なんでそんなことになってんの⁉」
俺の一世一代の告白が失敗しただけでなく、
「わけがわからん……」
こうして、俺の一世一代の告白は、根も葉もない噂のせいであっけなく失敗に終わってしまうのだった。
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ということで、始まりました新作!
いきなり振られてから始まる斬新的なラブコメ。
今後の展開に期待してください(自分でプレッシャーを与えていく……)
当作品は、18時投稿にしようと思っております。
良ければ、応援(♡)、小説フォローもよろしくお願いします!
コメントも随時お待ちしております(返信が都合上遅くなってしまう場合があります。ご了承ください💦)
久しぶりの一人称で書く作品なのでちゃんと書けるか心配ですが、温かく見守って下さるとうれしいです!
さばりん
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