第14話 【弱肉強食】

めぐみ達は、目的地に着いた。

ここは【狩場】と読んでいる場所だ。

【狩場】は、四箇所 “作られ”ている。その中の【人類村】に一番近い一つだ。


そう、ここはめぐみ達 人間が作った人工的な場所だ。

【人類村】は、安全の為に巨大な塀で囲って有るが、【人類村】周辺で、簡単に襲われたのでは、集落むらの周辺を気軽に歩く事も出来ない。

【人類村】は、山の中腹ちゅうふくに作られているのだが、巨大な獣からの驚異を取り除く為に、山の地形を利用して、山の周辺をぐるりと囲む様に、四層の巨大な罠が仕掛けられているのだ。

その罠は、定置網の応用で作られており、一番 【人類村】に遠い裾野すそのに、一番 巨大な20メートル級以上の獣が、内側に入れない様に崖で囲い、自然と巨大な獣が【狩場】に集まる形になっている。

その崖の囲いを抜けられる、20メートル未満で、15メートル級以上の巨大な獣は、内側に作られた、崖の囲いにより、また別の【狩場】に集められる。

そこを抜けられる15メートル未満の10メートル級も、その内側に作られた崖の囲いで、【狩場】に集められる。

そして、ここには……10メートル級の囲いを抜けて来た、10メートル未満の5メートル級の獣を集める【狩場】である。


毎回 5メートル級の【狩場】から順番に確認していく。

大体 どれかには獣が入り込んでいる。

今日も一匹 巨大なトカゲが掛かっていた。

6メートル位の大きさは有る。


「じゃあ、念動マインドで動きを止めるから、そしたら一斉にお願いね」


めぐみが指示を出す。

既にこれまで、何度も繰り返してきた事なので、慣れたものだ。


巨大トカゲの動きが止まったのを見て、フジャー達が一斉に襲いかかった。


グゲェーッ!


断末魔をあげて、巨大トカゲが息絶えた。


【狩場】は、一転 獲物の解体場と変わる。

獲物を狩る時に、【狩場】は入口を閉ざし、出入りが出来ない様にしてあるので、ここで解体するのが、一番 安全なのだ。






「さて、解体も終わったね」

と、フジャーにめぐみは声を掛ける。


[終わった 魔法 便利]

[便利 良い]


フジャー達がめぐみのチートな魔法を羨ましがる。


「うん。便利だよ。それは認める」

にこりと笑ってフジャー達にめぐみは肯定する。


「でもねぇ……」


「うちの子達は、魔法の得手不得手が有るから、便利なのが解ってるだけに、親としては残念なのよね」

と、愚痴をこぼす。


「不思議なんだけど、コーイチみたいに髪の白い子は、治癒や水火風土光の魔法が得意で、全員 全部か使えなくてもどれか一つの属性だけなんだけど、憑依 使役 念動は、苦手で使えないか、使えても一つ、しかも弱々しいよね……」


「うーん……」


「イアンみたいに髪の黒い子達は、逆に 憑依 使役 念動が得意で、治癒や水火風土光は苦手で、半分使える属性が有る程度だし、特に光は全く使えないのよね……」


「それに、みんな分体は使えないしね……」


と、便利な魔法が、自分の子供達に、全部 引き継がれなかった事に、強い不満を示す。


「まっ…… 毎回 髪の白い子と黒い子が、必ず一組で産まれるのも……不思議なんだけどね……」

苦笑いしためぐみ


そう、毎回 必ず子供達は二人一組で産まれ、必ず髪の白い子と、髪の黒い子が、一組なのだ。

一人だけと言う事も無くて、髪の黒い子が二人とか、髪の白い子が二人と言うのも無い。



「さぁ……解体した肉を持って帰ろうか?」


フジャー達に声を掛ける。


【狩場】の閉めてある入口から外を覗いて、巨大な獣が来ていない事を確認して、入口を開放して、【人類村】に続く罠の出入口を抜けて、帰路につく。



【人類村】に着くと、肉の分配を始める。

狩りに参加すると、物々交換しなくても、肉が手に入る。

肉の好きな種族、特に近くに集落むらを持つ、フジャー達 狼族ウルフ猫族キャット達は、よく狩りに参加する。


子供達もお肉が大好きだ。

今夜のご飯まで待ち切れないという感じで、分けられて行く肉の山を見ている。


「今夜はみんなで焼肉にしようね」


と言うと、みんな大喜びで準備を始めた。


「(まだ夕方にもなってないのにね)」


と、心の中で笑うめぐみだった。

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