第12話 【母親】

お母様と呼ぶ二人は、私から分かれ出たモノで間違い無かった。

魂の繋がりを感じるから。

でも、私とは別の存在になっている。

怨霊ではなくなったので、単細胞生物が分裂で増えるのと同じ様に、分体したモノは、私から分かれたら、別の生命体になるのかも知れない。


「初めまして」


「「初めまして?僕達 お母様から分かれ出たから、初めましては変かも!?」」


「あ、そうよね……」


「お母様 僕はコーイチです」

「お母様 僕はイアンです」


「私 結婚どころか恋愛さえした事が無いのに、子持ちになっちゃうんだね……」


「「うん!」」


「コーイチと…」


「はい!」


「イアン…ね?」


「はい!」


元気よく返事してくれた。


「僕達 要らなかった?」


戸惑っていたらコーイチが聞いてきた。


「そんな事は無いよ。嬉しいよ」


「本当…に?」


不安そうにイアンが確認する。


「もちろんよ。お母さん 嬉しいよ。産まれてくれて、ありがとう!」


「「良かった!!」」


二人が眩しい位の笑顔になった。

二人共 私から分かれ出たとは思えない程の美形だ。

その二人が溢れんばかりの笑顔を向けてくれて、さっきまでの寂しさが、吹き飛んで行ってしまった。


「あ……二人をフジャーや集落むらのみんなに紹介しなきゃ!」


「うん。お母様 お願いします」

礼儀正しくコーイチが言う。


「僕……恥ずかしいな……」

イアンは人見知りなのか、おどおどしている。


私も人見知りだったから、その気持ちは解るけど、一緒に生きて行くんだから、みんなに紹介しない訳にはいかない。


「お母さんも頑張るから、一緒に挨拶しようね!」


「「はい!」」


「良いお返事だね!じゃあ行こうか?」


「「うん!」」


先ずはフジャーに憑依カバーを使って呼び掛ける。

直ぐに来てくれた。

もちろん、フジャーは二人を見て動揺しまくりだった。


[だれ? だれ? だれ? だれ? だれ?]

[なに? なに? なに? なに? なに?]


そりゃ突然 見知らぬ人間が湧いて出たら驚くよね。


憑依カバーで二人の誕生を伝える。


族長オサー 行く]


と、フジャー。

そうよね。先ずは族長オサーに伝えなきゃね。


族長オサーの所に行って、族長オサー憑依カバーで繋がる。

そして、状況を直接 伝える。

そう言えば、族長オサー憑依カバーで繋がるのは初めてだ。


族長オサーは快く二人を迎えてくれた。

そして、獣人ウェア 狼族ウルフのみんなを集めてくれて、二人を紹介してくれた。


こうして二人は集落むらに歓迎されて、フジャーと私と、これからは二人の子供と、四人の生活が始まる。



第一章 完


********************************************


第一章 の登場人物


めぐみ

主人公

人見知りで友達が作れず、出会いを求めてSNSを始めて、そこで知り合った男に殺されて、怨霊と化す。

殺した男だけじゃなく、自分が殺される切っ掛けとなったSNSを利用する男達も呪い殺そうとした。

呪い殺そうとした男が異世界に召喚された事で、めぐみも異世界に転生する事になる。


めぐみの父親】

めぐみの父親


めぐみの母親】

めぐみの母親


めぐみの弟】

めぐみが嫉妬している実の弟


【真面目そうな男】

めぐみに呪い殺され掛けた男。

異世界に転移する運命の男だった。

この男が異世界に召喚されるのにめぐみは巻き込まれて、異世界転生する事になる。


【チャラい男】

めぐみを殺した男。

めぐみはSNSでこの男と出会い食事を一緒にする約束をするが、車でめぐみを山奥にまで騙して連れて行き、乱暴しようとして、めぐみを殺してしまう。


【異世界に召喚する者】

“真面目そうな男”を異世界に転移させようとして、一緒にめぐみを召喚してしまう。ドジな超常的な存在。


【ナビゲーター】

異世界に転生しためぐみのナビゲートをする無機質な話し方をする何か。

フジャー達 獣人ウェア 狼族ウルフめぐみを託したら、全く出なくなった。

かなり雑と言える存在かも!?


【フジャー】

獣人ウェア 狼族ウルフの一人。

まだ性別不明。

狼族ウルフだけど、モフモフしたくなるかわいさ。

黄土色の毛色の柴犬くらいの毛の長さ。

小学校高学年の子供くらいの大きさ。


【リム】

獣人ウェア 狼族ウルフの一人。

まだ性別不明。

真っ白な毛色の毛の長さはペルシャ猫みたいな感じで、小学校高学年くらいの大きさ。


【サアド】

獣人ウェア 狼族ウルフの一人。

まだ性別不明。

白地に灰色の縞の毛色。

リムより毛は短い。

小学校高学年くらいの大きさ。


【テア】

獣人ウェア 狼族ウルフの一人。

まだ性別不明。

白地にこげ茶色の縞の毛色で、サアドより毛が短い。

小学校高学年くらいの大きさ。


【コア】

獣人ウェア 狼族ウルフの一人。

まだ性別不明。

真っ黒な毛色でテアより毛が短い。

小学校高学年くらいの大きさ。

弓が上手い。


族長オサー

獣人ウェア 狼族ウルフの一人で族長。

まだ性別不明。

薄茶色の地に、赤っぽい濃い茶色の縞模様の毛並みの良い、コリー位の毛の長さ。

小学校高学年くらいの大きさ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る