第11話 【分体】

ドラゴンを食べ終わって、みんな帰り支度を始めた。


お祭りみたいな時間が終わって、凄く物悲しさを感じる。


獣人ウェア 猫族キャットのみなさんと挨拶して別れた。

狼族ウルフのみんなとは違う可愛さだった。



行きとは違い、帰りはザウルスちゃんに乗せて貰って移動する。

ザウルスちゃんの背に乗り、楽しそうに仲間と歩くフジャーを見ていると、凄く羨ましく感じた。

地球に帰りたい理由わけでは無いけど、私がこの世界では、ただ一人の人間なんだと思うと、寂しさを感じた。

これが【孤独】と言う事なんだと思う。

地球で生きていた時以上に、自分の【孤独】を感じた。


私は…一人なんだ。

私は…人に愛される事は無いんだ。

私は…孤独なんだ。


人間との関わりを拒絶して、この世界を選んだのに、私って凄く我儘わがままだよね。


もし……地球に生きて戻れたとしても、私はまた独りで生きて行く事になると、思う。

もし……地球に怨霊として戻れたとしても、私はまた人間を呪い殺してしまうだろうと、思う。


人間が怖い。

人間が憎い。


それは変わっていないのだから。


でも、寂しい。


凄い矛盾むじゅんだと自覚している。馬鹿だよね。間抜まぬけだよね。

それは解るけど、感情が安定しない。

自分がどうしたいのか解らない。


集落むらに着いた。


フジャーは友達に用があるらしく、そのままそちらに向かった。


自分の家に戻り、ゴロンと横になる。

寂しさを消そうとしても、消そうと思えば思うだけ、寂しさが増してしまう。

ホームシックみたいな感じなのかも知れない。

独りで寂しさに悶ていると……自分の内側で、カチンと何かがかみ合った。


身体全体からモヤの様な物が出て、二つの何かに形を変えていく。


分体スプリット


怨霊ののうりょくが発動したのが解った。

この力は、自分を分けて、多数の人間を【同時】に襲った時の力だ。

生身の人間には、自分自身を分けられないけど、怨霊の時は、【同時】に複数の空間に存在出来た。


寂しさから、自分の身を分けて、自分自身の複製を作ったのかも知れない。

同じ自分でも、話し相手にはなるかも知れない。

結局は【一人】で【独り】で【孤独】な状況は変わらないと思うだけどね。


あれ?でも……

その分かれ出た二つは、私よりもかなり小さかった。

子供の頃の私になるのかな?


形がさだまってきた。


それは……

どう見ても私では無い。

フジャーに雰囲気の似たものを持つ、私とは別の存在だった。

二人共 フジャーと背丈が同じくらい。

一人は、真っ白な髪の肌も日本人より白人に近い白さで、目も色素が薄い感じだった。

もう一人は、真っ黒な髪に、日本人より浅黒い肌の真っ黒な黒目。

性別も……ぉ……お……おとっ……男の子!?


「「お母様かあさま 初めまして」」

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